【実録】“仮面夫婦の親”に育てられた子どもたちの現実 #2「俺は救われていた」

互いに関心も愛情も向け合わず、形だけの夫婦で生活を続けるのが仮面夫婦。

自分たちはそれで納得しているかもしれないけれど、一方で置き去りにされるのが子どもたちの状態です。

生きる環境を選べない子どもにとって、両親の仲が冷めきっているせいで受ける影響は良い面も悪い面も大きく出てきます。

「親が仮面夫婦」であることは子にどんな現実を強いるのか、実録でご紹介します。

「俺が小さい頃から過干渉というか、することにいちいち口を出しては自分の意見を通そうとする母親とは、中学生になってから家で会話をするのを避けていました。

反抗期だったせいもあって、食事に呼ばれても無視して自分の部屋にこもることが多かったですが、そんな俺を見ても父親は何も言ってこないというか放置していて。

思い出してみると父と話すのは母親が家にいないときで、日曜日にインスタントラーメンを作ってくれたり部屋の模様替えを手伝ってくれたり、楽しかった記憶がありますね。

しつこく絡んでくる母親と違い、学校や勉強のことをあれこれ聞いてこない父親が好きでした。

ふたりの状況とか実家にいた頃はほとんど興味がなかったけれど、今振り返ると仲睦まじくいるところなんて覚えてなくて、ふたりが揃ってリビングにいることもなかったし、三人でテレビを見るような時間もほとんどなかった気がします。

友達の家に遊びに行くと、両親が楽しそうに話していたり父親がみんなにお土産を買ってきたり、これが普通なんだよなと思うと寂しい気持ちもありましたね。

でも、ヒステリックな母親のいる家で過ごすのは本当につらかったし、もし父がそれに同調していたらと思うと俺自身何をしていたかわかりません。

父だけが俺にまともに関わってくれたし、仮面夫婦なのだろうけど、俺はそれで救われていたと思います。

高校を卒業と同時に就職して家を出ましたが、母は実家に戻り実家には父だけが今も住んでいて、母とは音信不通だけど父には連絡を欠かさないようにしています」(男性/28歳/土木)

親が仮面夫婦であることで、かえってストレスがなかったというケースもあります。

どちらかが過干渉の場合、従わない自分をヒステリックに責め立てられれば嫌悪感しか持てず、一方で片方がそんな自分を受け入れてくれたら、それが心を持ち直す存在にもなるのですね。

ただこんな家族のあり方が正常とは決して言えないのも事実で、夫婦としては崩壊していることは、子が成人した後で大きな問題となる可能性があります。

(ハピママ*/ 弘田 香)

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