<社説>台風6号長期化 日頃の備え再点検を

 台風の猛威を改めて実感させられた。台風6号が7月31日に大東島地方に最接近してからおよそ1週間、県内各地で大きな被害が相次いでいる。停電や断水も続いているほか、本島地方では激しい雨をもたらす線状降水帯も発生するなど、土砂災害や浸水などへの警戒もなお必要だ。県民生活への影響も長期化しているが、引き続き命を守る行動を心がけてほしい。 影響が長期化したのは、過去に例のない進路にある。7月末には西向きの進路をとっていた台風6号は、4日に宮古島の北側の海域で向きを東に変え、再び本島地方や大東島地方に最接近した。

 沖縄気象台によると、太平洋高気圧の張り出しが弱まった一方、大陸にある高気圧が強まったことから西に進みにくく、気圧が弱い方向に引っ張られる形で東に寄りながら北上したという。偏西風が北に位置することも動きが遅い要因とみている。

 暴風雨の長期化は、県民生活の混乱を招いている。台風6号の影響で2人が亡くなったほか、本紙の調べで6日午後6時までに累計で106人が負傷した。家屋の倒壊や土砂崩れなども相次いでいる。

 一時、県全世帯の34%に当たる21万5800戸が停電し、6日午後8時現在も1万5510戸で停電している。断水も各地で続いており、生活インフラへの影響は深刻だ。

 離島県としての課題も露呈した。本島周辺離島や宮古・八重山、南北大東島などでは船便の欠航が長期化していることで、食料品の不足が深刻化している。台風が通過しても海上はしけが続く恐れもあり、支援が急がれる。

 県は34市町村に災害救助法を適用する。全41市町村の8割超が対象で、復帰後では最多とみられる。暴風などが収まれば被害の全容が見えてくるが、農作物や家屋への被害などへの対応も求められる。

 近年、国内や世界各地で自然災害の多発、激甚化が指摘されている。今年も6月上旬から7月中旬にかけ、梅雨前線の活動が活発化し九州や中国地方、東北などで記録的な大雨となった。北海道でも今月4日から6日にかけて大雨に見舞われている。

 沖縄でも、台風や大雨などに対する備えを再点検する必要がある。県や市町村には、道路など災害に強いインフラ整備や防災意識の啓発などのほか、離島地域での備蓄や災害時の輸送手段の確保について、より迅速に対応できるよう検討を進めてもらいたい。離島への物資輸送では国との密接な連携も必要だ。

 県民一人一人も、懐中電灯など非常用具の確認、非常用食品や断水に備えた飲料水、生活用水の確保のほか、避難場所の確認など日頃からの備えを万全にしたい。台風に限らずさまざまな自然災害にも有用だ。家族や自分自身を守るためにも防災に関する意識を高めていきたい。

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