夏の甲子園大会初日の開幕試合に登場した茨城県代表の土浦日大は6日、上田西(長野)とタイブレークにもつれる大熱戦の末、勝利をもぎ取り、初戦を突破した。約2千人に上る応援団は一塁側アルプス席をそろいのシャツで赤一色に染め上げ、夏の甲子園37年ぶりの勝利へ向け、歓声や演奏で選手を後押しした。
吹奏楽部は、テレビ時代劇「水戸黄門」のテーマ曲や、人気音楽ユニットYOASOBIの新曲「アイドル」などを演奏し、元気な音色を球場に響き渡らせた。応援部やチアリーディング部のメンバーは踊ったり、大声を出したりして選手を鼓舞した。
試合は土浦日大が2点を先制したものの、中盤で同点に追い付かれ、2-2の振り出しに。その後は両者一歩も譲らず、延長戦に突入した。
しかし、県大会決勝で九回に5点を挙げて逆転勝ちしたように、終盤に強いのが土浦日大ナイン。タイブレークでは打者一巡の猛攻で一挙6得点を奪い、勝利をぐっと引き寄せた。
応援部長で2年の橋場まりあさん(16)は「素晴らしい試合が見られてうれしい。引き続き全力で応援したい」と声を弾ませた。
スタンドからは保護者も声援でナインとともに戦った。代打で適時打を放った飯田将生選手(3年)の父、健二さん(51)は「自信のある表情で打席に立っていたが、よく打ったなと思う」とわが子の強心臓ぶりをたたえた。
県大会準決勝で頭部に死球を受けて負傷交代し、決勝はベンチで試合を見守った塚原歩生真主将(3年)はこの日、先発で出場して攻守に躍動した。父、誠さん(51)は「プレーする姿に感激し、涙が出た」と声を震わせ、「まずはおめでとうと伝えたい」と感慨深げに話した。
■声援届いた、勝利に歓喜 土浦でPV
夏の甲子園大会初日の開幕試合に登場した茨城県代表の土浦日大を応援しようと、土浦市大和町の同市役所1階市民ラウンジでパブリックビューイング(PV)が行われ、多くの市民が大型スクリーンの画面越しに声援を送った。
二回表、松田陽斗選手(3年)が中堅に大飛球を放つと、「行け、行け!」と願いを込めるように声援。フェンスを越え、大会第1号の本塁打になると「おおー」と大歓声に変わった。四回裏に2点を返され、同点が続く拮抗(きっこう)した試合を市民らは固唾(かたず)をのんで見守った。延長戦に入りタイブレークとなった十回表、土浦日大が得点を重ねると、PV会場は再び大きな声援と拍手に沸いた。
市内に住む土浦日大OBの男性(62)は「今日は勝てて本当に良かった。深紅の大優勝旗を土浦に持ち帰ってほしい」と期待を込めた。