被爆者の人生 感情込め表現 長崎で「水の会」が音楽朗読会

感情を込めて朗読する「水の会」メンバー=長崎市、カトリック城山教会

 長崎と東京を拠点に活動する朗読グループ「水の会」は5日、長崎市内で平和を祈る音楽朗読会「マリアの丘から愛を込めて」を開いた。約120人が来場し、平和の大切さと命の尊さをかみしめた。
 例年長崎原爆の日を前に開き16回目。新型コロナウイルス禍で4年ぶりとなった。長崎と東京のメンバー約35人が出演し、ピアノ演奏に合わせた朗読や合唱、カウンターテナー歌手による歌唱を披露した。
 うち長崎の14人は、元英国軍人でジャーナリストの故ピーター・タウンゼントさんが故谷口稜曄さんの被爆体験を基に書いた「ナガサキの郵便配達」を朗読。穏やかに暮らした被爆前と被爆者として生きた戦後の人生を感情を込めて表現した。
 東京の11人は、東日本大震災の遺族らが線のつながっていない電話を通して犠牲者をしのぶ「風の電話」をモチーフに、それぞれの大切な故人に向けて語りかけた。来場者は涙を拭いながらじっと聴き入った。
 コロナ禍に祖父を亡くしたという同市若草町の栗浦詩織さん(33)は、楽しみにしていた祖父の代わりに来場し「感動で胸がいっぱい。被爆地長崎の重みを感じた」と語った。

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