《戦後78年》海底の戦艦長門捉える 戸村さん写真展 茨城・笠間 解説付き13点 米原爆実験で沈没

「〝ビキニ環礁〟核実験と戦艦長門の今」展の会場に立つ水中写真家の戸村裕行さん=笠間市旭町

水中写真家、戸村裕行さん(41)=埼玉県=の写真展「〝ビキニ環礁〟核実験と戦艦長門の今」が、茨城県笠間市旭町の筑波海軍航空隊記念館で開かれている。第2次大戦後、米軍の原爆実験で沈没し、海底に朽ちたまま眠る旧日本海軍の名高い軍艦の姿を捉えたカットを中心に13点の解説付きパネルで紹介している。

戦艦長門は大正時代の1920年に建造され、旧日本海軍を代表する旗艦として知られる。第2次大戦での日本の敗戦後、米軍が接収。46年7月に米軍が実施したマーシャル諸島ビキニ環礁での2度の原爆実験で標的艦として用いられ沈没。水深55メートルの海底に、今もそのままの状態である。

戸村さんは、6人の仲間と共に、2018年7月に長門の水中撮影を敢行。今回の展示はその時の記録の一部で、海の植物に覆われた艦首や艦橋部の主砲予備指揮所に当たる部分、艦尾のプロペラなど海底にある様子を捉えたカットなどが並ぶ。

さらに長門以外で、同じくビキニ環礁での実験で標的艦となった軽巡洋艦「酒匂(さかわ)」、ドイツの重巡洋艦「プリンツ・オイゲン」、米の航空母艦「サラトガ」の写真パネルも併せて展示されている。

戸村さんは、長門について「水中で対面した時は、その巨大さに圧倒された。それと同時に70年を超える時を経て、朽ち果てつつ、目の前に鎮まってある姿に何とも言えないものを感じた」と話した。

同展は、同記念館と「鹿島海軍航空隊跡」(茨城県美浦村)で同時開催の「群青の追憶」というタイトルの巡回展の一部でもある。美浦の方では「海底に眠る戦争遺産を追う」と題し、ビキニ環礁以外の太平洋の海底に眠る沈没艦船や航空機、潜水艦などを約40点の写真パネルで紹介している。

会期は両会場ともに10月22日まで。観覧には共に施設の入館(園)料金がかかる。「戦艦長門」の展示に関する問い合わせは(電)0296(73)5777。

© 株式会社茨城新聞社