またも脱線、利用者ら「不安」 弘南鉄道大鰐線(青森県)、2019年に続き

脱線した弘南鉄道大鰐線の車両=6日午後4時過ぎ、大鰐町宿川原
脱線したとみられる後方車両の右前部の車輪

 「事故が続くと不安」「原因究明を」。弘南鉄道大鰐線で6日に起きた脱線事故。2019年に続き、再び繰り返された。利用者や近隣住民からは不安を訴える声が次々と聞かれた。

 大鰐町宿川原の現場の近くに住む鎌田保博さん(36)は家の中で「ドン」という大きな物音を聞いた。外を見ると、線路に列車が止まっていた。しばらくするとバスとタクシーが到着し、乗客が騒ぐこともなく乗り込んでいったという。「これまでも大鰐線で脱線事故は起こっていたが、まさか自分の家の前で起こるとは」と信じられない様子だった。

 大鰐町の温泉施設を利用するため、大鰐線を使って同町を訪れていた弘前市の中田鉦子さん(91)はけが人がいなかったことに胸をなで下ろした。「買い物や通院で大鰐線を使っており、生活する上で大事な路線。安全に運行してほしい」と求めた。

 長年にわたり通学や通勤で大鰐線を利用してきた弘前市の60代男性は「事故が続くと不安になる。昔よりも揺れを強く感じるような気がする」と話す。

 事故から約6時間後、事故で運休になったことを知らずに大鰐線の駅を訪れる人も。帰省する弟を迎えに千年駅から中央弘前駅に向かおうとしていた森辰徳さん(33)は「駅の改札口付近にあった張り紙で知り驚いた。これからバスかタクシーを探す」と話した。

 通勤で大鰐線を週に2~3回使うという弘前市の20代アルバイト女性は「めったにないこととは思うが、原因究明を進めてほしい」と困惑した表情を見せた。

© 株式会社東奥日報社