松原秀典展が11月2日開幕 高岡出身人気アニメーター イラスト、原画150点、高岡市立博物館で展示

松原秀典さん

  ●「この世界の片隅に」、「エヴァンゲリオン」シリーズ…

 高岡市出身の人気アニメーター松原秀典さんの作品群を一堂に展示する富山新聞創刊100年記念「松原秀典展」(富山新聞社主催)の概要が固まった。高岡市立博物館を会場に11月2日から1月8日まで開催し、松原さんが携わった「この世界の片隅に」や「サクラ大戦」、「エヴァンゲリオン」シリーズからカラーイラストや原画約150点を展示。時代を象徴する作品の数々を通し、高岡が生んだ希代のクリエイターを余すところなく紹介する。

 松原さんの作品展は2012年に高岡市美術館で開催されて以来で11年ぶり2回目。前回の作品展以降に制作した作品や未発表作品を中心に展示し、前回展と展示作品が一切重複しないことに加え、巡回展ではないため、会期中、高岡市立博物館でしか見られない貴重な展示となる。

 松原さんは現代日本を代表するアニメーターの一人。キャラクターデザイン・作画監督を務めたアニメ映画「この世界の片隅に」(2016年公開)は異例のロングランヒットとなり、同作品に新たな映像を加えた「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」は天皇、皇后両陛下と長女愛子さまが鑑賞するなど社会現象的な人気となった。

 参加作品は国内のみならず海外のファンも魅了し、松原さんの手掛けた仕事は、日本のアニメ文化が発展する上で大きな役割を果たしてきた。

 展覧会では松原さんの原画などに加え、全国各地にある高岡銅器製のアニメ漫画キャラクター像などを通して地域に根づく伝統工芸を紹介し、松原さんを生み出した高岡の文化力にも光を当てる。

 会期中、松原さんのトークショーやサイン会のほか、松原さんがデザインした高岡市観光大使「あみたん娘」の声優によるイベントや公式コスプレイヤーの来訪も予定されている。

 松原秀典展は一般千円、中高生500円(小学生以下無料)。月曜(祝日を除く)と年末年始は休館となる。会期中に予定される関連イベントは次の通り。

 ▽11月3日 松原秀典トークショー・サイン会▽11月4日 松原秀典サイン会▽11月26日 声優トークショー(山本希望、エリザベス・マリー)▽1月7、8日 松原秀典サイン会▽11月12日、12月10.24日、1月6日 あみたん娘来場(予定)

 

  ●「あみたん娘」もデザイン

 松原さんは1965年生まれで高岡工芸高デザイン科卒業。株式会社カラー所属。86年ガイナックスに入社後、「王立宇宙軍 オネアミスの翼」「ふしぎの海のナディア」「新世紀エヴァンゲリオン」などに参加。ゲーム「サクラ大戦」、OVA(オリジナルビデオアニメ)「ああっ女神さまっ」でキャラクターデザインや総作画監督を務め、注目を集める。その後もテレビアニメ「巌窟王」、映画「とある飛空士への追憶」「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズなど多くの作品で活躍した。

 近年では「シン・エヴァンゲリオン劇場版」、戦時中の日常を細やかに描いて話題を呼んだ「この世界の片隅に」「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」、音楽映画「Adam by Eve: A Live in Animation」の「暴徒」パートなど、タイプの異なる作品で熟練したアニメーターとして仕事の幅の広さを見せ、精力的に活動している。

 地元である高岡の力になれればと、2012年に高岡の象徴でもある高岡大仏をモチーフとした「あみたん娘」のキャラクターデザインを手掛けるなど、今も高岡とのつながりは深い。

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