海洋深層水でストレス減? ヒラメ飼育、金沢大

養殖されたヒラメ(金沢大能登海洋水産センター提供)

 金沢大などのチームは、水深200メートルより深い所からくみ上げた「海洋深層水」でヒラメを飼育すると、ストレスホルモン「コルチゾール」の濃度上昇が抑制されたと8日までに発表した。深層水にコルチゾールの分泌を抑える物質が含まれていることを確認。今後、トラフグなど他の魚でも効果を調べる。

 チームの鈴木信雄金沢大教授は「養殖では多くの数を飼育するため魚にストレスがかかる。深層水でストレスを軽減できれば飼育の効率が上がる」と期待感を示した。

 チームによると、富山湾でくみ上げた深層水と表層水をそれぞれ入れた水槽にヒラメを7匹ずつ入れて飼育し、比較。小さい水槽で飼育することでストレスが加わるようにした。血中成分を調べると、表層水のヒラメは小さい水槽に移す前に比べてコルチゾール濃度が上昇したが、深層水のヒラメは上昇しなかった。

 チームは深層水中に含まれる物質「キヌレニン」が、ヒラメのうろこにある細胞に作用するなどし、コルチゾールの分泌が抑制される仕組みを突き止めた。人工海水にキヌレニンを加えても同様の効果が見られた。

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