茨城県最低賃金953円 審議会答申 42円引き上げ

茨城労働局で開かれた茨城地方最低賃金審議会=7日午後、水戸市宮町

茨城地方最低賃金審議会(会長・清山玲茨城大教授)は7日、2023年度の茨城県の最低賃金を1時間当たり42円引き上げ、953円に改定するよう茨城労働局の沢口浩司局長に答申した。引き上げ幅は4.61%で過去最高。時給も最高を更新した。10月1日から適用される見込み。

中央最低賃金審議会が7月に示した目安の40円を2円上回った。茨城労働局によると、引き上げは20年連続となる。

茨城地方最低賃金審議会の専門部会は8月に入り、計3日間開催。使用者側、労働者側、公益委員の計9人で、原材料価格の高騰や物価上昇の影響などについて協議した。

この日の専門部会では、公益委員が42円の見解を提示。公益委員の部会長を除いて採決した結果、労働者側と公益委員の5人が賛成し、使用者側の反対3人を上回った。

報告を受けた同審議会では会長を除いて採決し、賛成9人、反対5人で結審した。答申には物価上昇の影響を受ける中小企業への支援強化などの要望を盛り込んだ。

引き上げ額について、労働者側と使用者側で評価が分かれた。連合茨城の大森玄則部長は「満足できる数字ではないが、一定の評価はできる」と話した。県経営者協会の沢畑英史事務局長は「大幅なアップは中小企業には厳しい。行政には中小企業への支援をお願いしたい」と訴えた。

大井川和彦知事は「近隣他県との格差是正に配慮されたものとは考えられず、極めて遺憾だ」とした上で、「引き続き、積極的な引き上げを働きかけていく」とコメントした。

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