茨城・高萩出身アルト歌手 国井さん凱旋 美声響く 地元でコンサート 中学生に歌唱レッスンも

高萩市立松岡中3年生の矢田絢音さん(右)に歌唱指導する国井美香さん=同市高萩

茨城県高萩市出身でイタリア在住のアルト歌手、国井美香さん(63)のコンサート(同市主催)が5日、同市高萩の文化会館で開かれ、地元凱旋(がいせん)に集まった聴衆約480人が、伸びのある歌声に酔いしれた。国井さんは「自分の後に続く声楽家を高萩から輩出したい」と歌唱レッスンも行い、市内の中学生にオペラの本場で磨いた発声法や呼吸法を伝えた。

国井さんは、地元でも自分の歌声を届けようと、帰国した際に定期的にコンサートを開催している。今回は「サンタ・ルチア」などのイタリア歌曲と「夏の思い出」「浜辺の歌」など日本歌曲を計7曲高らかに熱唱し聴衆を魅了。会場は、大きな拍手で包まれた。市内から訪れた佐藤信さん(71)は「世界に通じる音楽が聞けて幸せ」と感慨深げだった。

歌唱指導では、レッスンを希望した市立高萩中と松岡中の生徒5人が壇上に立ち、自身が選曲した歌を披露。国井さんは、手本を見せながら「おなかの下から声を出すイメージ」、「クレッシェンドを意識して」などと指導。中学生の歌声は改善し、声がホールに響き渡った。聴衆は生徒の成長と国井さんの指導力の高さに称賛の拍手を送った。

指導を受けた松岡中3年生の矢田絢音さん(14)は「偉大な人に教えてもらって貴重な経験になった。歌手が夢なので、この経験を生かしたい」と目を輝かせた。

国井さんは、1988年からイタリアに留学し、同国を中心に活躍。2005年にはローマ教皇の前で御前演奏を果たし、21年にはイタリア声楽界での実績が評価され、同国で活躍した音楽家に与えられる「トーマス・シッパーズ国際賞・声楽特別賞」を日本人として初めて受賞している。

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