「戦後処理で秘匿された」小学校の校庭に埋まった大量の模擬手榴弾、国民学校で訓練か #戦争の記憶

中主小の校庭で見つかった大量の模擬手榴弾(野洲市西河原・市北部合同庁舎)

 滋賀県野洲市の中主小の校庭で2年前、大量の模擬手榴(しゅりゅう)弾が見つかった。その実物の一部が4日から野洲図書館で展示されている。戦時中に国民学校では軍事教練の一環として手榴弾の投擲(とうてき)訓練が行われており、担当者は「戦争が身近にあったことを感じてもらいたい」と話す。

 模擬手榴弾はかつて訓練用に使われ、爆薬は入っていない。2021年1月の同小校舎改修工事の際、校庭の掘削作業中に出土した。信楽産とみられる陶器製と鉄製の計83個で、地下約0.5メートルの地中にまとまって埋まっていた。本体に「中里」と墨書きされているものも1点あり、同小の前身「中里国民学校」で軍事教練に用いられていたことを示唆するという。

 敗戦後、学校に保管された兵器類の調査が徹底され、模擬手榴弾は校庭に地中廃棄されたとみられる。21年度の市文化財調査概要報告書では「戦後処理の混乱の中で秘匿された歴史を物語る遺物」と結んでいる。

 野洲図書館では保存状態が良好な10数個を展示する。また、手榴弾の投げ方をイラストも添えて説明した当時の教科書など戦争に関する所蔵図書の特集もある。31日まで。月曜休館。

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