被爆マリア像とカトリック信者巡る劇映画「祈り」 出演の宮﨑香蓮さん「目そらさず 見てほしい」

上映後、対談する宮﨑香蓮さん(左)と松村克弥監督=島原市有明総合文化会館

 長崎原爆や旧浦上天主堂の被爆マリア像を題材にした劇映画「祈り-幻に長崎を想(おも)う刻(とき)-」(松村克弥監督、2021年公開)の上映会が6日、島原市有明町の市有明総合文化会館であった。松村監督と、看護師役で出演した同市出身の俳優、宮﨑香蓮さんのトークショーもあり、制作時の裏話などが語られた。
 上映会は島原市、同市教委主催。約400人が鑑賞した。
 「祈り」は、長崎市出身の劇作家、故田中千禾夫(ちかお)さんの戯曲「マリアの首」が原作。旧浦上天主堂の取り壊し(1958年3月)を目前に控えた57年12月の長崎が舞台で、天主堂跡に残された被爆マリア像の破片を集め、守ろうとするカトリック信者の女性らの姿を描いている。
 長崎市出身の歌手・俳優で被爆者の美輪明宏さんが被爆マリア像の声役を務めた。映画には被爆直後の浦上で救護活動をする永井隆博士が登場する。松村監督はトークショーで、制作時に美輪さんから「生前の永井博士に会い、葬儀に参列した」と聞いたと紹介。宮﨑さんは長崎原爆被爆者の証言聞き取りを2017年から続けているといい、「目をそらしてはいけない話が詰まっている。ぜひたくさんの方に見ていただきたい」と語った。
 「祈り」は、11月にバチカン市国でも上映されるとの紹介もあった。

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