雑味ない名水「耀子の清水」でコーヒーいかが 古びた空き家を改装、カフェやゲストハウスに 香美

サイホンセットでコーヒーを入れる椎葉洋元さん=香美町村岡区耀山

 蘇武岳の麓に湧く「耀子(かかご)の清水」を求めて多くの人が訪れる兵庫県香美町村岡区耀山で、山小屋風の空き家がカフェ&バーとゲストハウスに生まれ変わった。「耀子の清水」の真向かいという好立地で、地元の名水で入れるコーヒーを名物にしたいという。(長谷部崇)

 「耀子の清水」は昔、耀山の住民が子どもの成長を願って水速女命(みずはやめのみこと)を祭り、産湯に使うと元気に育って村が栄えたとされる。雑味がなく、おいしいと評判で、阪神間からも水をくみに訪れる人がいるほどだ。

 空き家は、まきストーブなどの販売・施工会社「ヨキ」の椎葉洋元さん(44)が、知り合いに紹介してもらった築40年弱の物件。煙突付きの木造3階建てで、延べ床面積は約200平方メートル。昔は喫茶店として使われ、コーヒーのサイホンセットや大きな丸テーブルが残っていた。耀子の清水を求めて1日数十人が訪れる立地でもあり、「店できるやん」と思ったという。

 高砂市出身の椎葉さんは2014年に豊岡市竹野町へ移住し、古びた空き家を3年がかりで改修。ヨキが拠点とする香美町小代区茅野の古民家では、蔵をサウナに改装したゲストハウス「カヤノヒュッテ」を運営している。「古い既存の住宅を、どないかして再利用するのが楽しい」といい、空き家再生はお手の物だ。

 ただ、耀山の空き家は状態がよかったため、障子や壁紙を貼り替えたくらいでほとんど手を入れていないという。2階はカフェ&バー「カカヤマダイナー」、3階はゲストハウス「カカヤマヒュッテ」(定員6人)として運営する。メニューはコーヒーやトースト、ガーリックシュリンプ、ビールなどで、スコーンやマフィンなども置く予定だ。

 耀山の清水は敷地内まで水が引かれており、ポンプの修理や水質検査を終えて保健所が許可すれば、店で使えるという。店にはまきストーブも設置予定。椎葉さんは「誰でも歓迎。気軽に立ち寄って」と話している。営業時間は午後3~8時(不定)。不定休。TEL090.4256.4623

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