止まらぬガソリン高騰 県内、お盆の帰省直撃

レギュラーガソリンの会員価格「177円」の表示。国の補助金縮小などにより値上がりが続いている=7日午後、宇都宮市不動前2丁目

 政府の補助金縮小などを背景に、ガソリン価格の高騰が止まらない。県内のレギュラーガソリン1リットル当たりの平均小売価格(7月31日時点)は177円10銭で、2008年8月以来15年ぶりの高値。お盆の帰省シーズンを控えた7日、ガソリンスタンド(GS)では家計の負担増を嘆く消費者の姿もあった。価格の上昇は続く見通しで、GS側からは「値上げせざるを得ない」との声が漏れる。

 7日午後、宇都宮市不動前2丁目のGS。1リットルのレギュラーガソリンの価格はこの日3円値上がりし、179円となった。

 給油に訪れた同市、パート従業員女性(30)は「車は必需品なので仕方ないけれど…」と表情を曇らせた。同市、会社員男性(54)は「車をなるべく使わないようにしている」と気にかける。今月予定する家族旅行は新幹線を利用するという。

 価格高騰の中で迎える帰省シーズン。県内で勤務する埼玉県蓮田市、公務員狩野武将(かりのたけまさ)さん(39)は車で福島県などへの帰省を予定しているが、「ガソリン代の高騰は痛手」と本音を吐露する。しかし「年に数回しか会えない家族に会うため」と受け止めている。

 GS側は苦しい胸の内を明かす。同店の笹沼誠(ささぬままこと)店長(38)は「お客さまには心苦しいが、仕入れ値が上がっているので値上げせざるを得ない」と話した。

 大田原市内でGSを経営する男性(73)もこの日、レギュラーガソリン価格を4円引き上げた。「値上げをしても経営は厳しい。顧客が、より安い店に流れる動きもある」と頭を悩ませている。

 県石油商業組合によると、価格上昇の背景には段階的な補助金の縮小に加え、主要産油国の追加減産による原油価格の上昇、円安があるという。補助金は9月末で終了予定だが、同組合の山口博之(やまぐちひろゆき)理事長(62)は「補助金がなくなれば1リットル185円、190円への上昇も見込まれる。地域の足を守るために延長してほしい」と求めた。

 日本自動車連盟(JAF)栃木支部によると、空気圧が低下したタイヤには通常時より抵抗力が働くため、走行距離が伸びず燃費が悪くなる。担当者は「日頃から空気圧をチェックし、適正数値を保ってほしい」とガソリンの節約術をアドバイスしている。

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