脱線現場、レール幅に異常なし 弘南鉄道大鰐線(青森県)、国の調査始まる

脱線事故の現場近くで線路の状態を調べる国や弘南鉄道の職員ら。奥が事故車両=7日午前9時10分ごろ、大鰐町宿川原

 弘南鉄道大鰐線の脱線事故を受け、国の運輸安全委員会が7日、原因究明のための調査を始めた。同日は青森県大鰐町宿川原の事故現場でレールなど線路の状況を調べた。同委員会の鉄道事故調査官は取材に対し、レールの幅が広がる「軌間拡大」や枕木の著しい老朽化などはなかったことを明らかにした。8日は津軽大沢駅で事故車両を詳しく調べる。

 7日夜、弘南鉄道は8、9の両日も全区間で運転を見合わせると発表した。再開の見通しは立っていない。

 調査は7日午前8時45分ごろから始まった。同委員会の鉄道事故調査官2人をはじめ、国土交通省東北運輸局、黒石署、弘南鉄道の担当者ら16人が参加した。専用の器具を使って線路にできた傷の長さを測ったり、ハンマーでレールをたたいて枕木とレールをつなぐボルトがしっかり固定されているかなどを確かめた。

 午後4時半過ぎから、脱線した車両をジャッキで線路上に戻し、いったん大鰐駅側に移動させ車両の下にあった線路を調べた。午後8時15分ごろにモーターカーで車両を引っ張り始め、車庫がある津軽大沢駅まで運んだ。

 同委員会の吉田孝志鉄道事故調査官は取材に「脱線した車両から(出発駅の)大鰐方向の線路に長さ約50メートルの傷が確認できた」と話し、停止位置の50メートル手前の地点で脱線したとの見方を示した。2019年の脱線事故の原因となった軌間拡大や、枕木の著しい老朽化は見られなかったという。置き石の可能性は低いとみている。

 調査に立ち会った弘南鉄道の中田正志取締役業務部長は「脱線事故により利用者にご迷惑をおかけして申し訳ない。調査結果を踏まえ再発防止に努めたい」と語った。7月3~5日に行ったレールの検査や同25~27日に行った車両の検査で異常はなかったという。

 事故は6日午前11時半ごろ発生。大鰐駅発中央弘前駅行きの2両編成の後ろの車両が進行方向の左側に脱線した。運転士1人と乗客18人にけがはなかった。

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