全国各地の高校生、五所川原立佞武多に続々 はやし方、引き手、学校・地域PR

力を合わせて大型立佞武多「素戔嗚尊」を引く高校生ら=7日夜、五所川原市
手びらがねや声で盛り上げる東京の高校生たち。青いはんてんが六郷工科生、白と黒のはんてんが日大二高生
ELM内に開設したブースで、自分たちで作った商品などを販売する高校生

 五所川原市の「五所川原立佞武多(たちねぷた)」は7日、青森県を含む4県の高校生ら約100人が大型立佞武多「素戔嗚尊(すさのおのみこと)」の引き手として登場し、元気あふれる「ヤッテマレ」のかけ声で沿道を魅了した。人形ねぷた運行団体「三振(さんふ)り會」には、東京都の六郷工科高校と日本大学第二高校の生徒がはやし方などとして参加。全国各地から集まった若い力が、祭りを熱く盛り上げた。

 「素戔嗚尊」の引き手として参加したのは、五所川原第一高校など県内の5校と、男鹿海洋高校(秋田県)、小名浜海星高校(福島県)、相可高校(三重県)の生徒たち。地域課題をビジネスの手法で解決するソーシャルビジネスプロジェクト(SBP)の企画「全国高校生1億円プロジェクト」の一環で、五所川原市に集まった。

 そろいのTシャツを着た生徒たちは、力を合わせてロープを引き、高さ23メートル、重さ19トンの大型立佞武多とともに約1.3キロを練り歩いた。小名浜海星高校の上田凜さん(3年)は「めちゃめちゃ楽しかった。みんなにぎやかで、フレンドリーで、地元にはない楽しさがあった。また絶対来たい」と笑顔で語った。

 各校は日中、同市のショッピングセンター「ELM(エルム)」にブースを出展。生徒たちが考案したり、製作したりした商品を販売し、それぞれの地域の名産や学校の特色をPRした。同プロジェクトのパンフレットデザインなどを担当した黒石高校の藤本倖さん(3年)は「全国の高校生の活動を知り、刺激になった。高校生たちが自ら行動し、企画したという経験は、将来に役立つと思う」と話した。

 三振り會の運行には六郷工科高校ねぶた同好会の生徒8人が、はやし方や引き手として初参加。持参した笛や手びらがねを鳴らし、練習の成果を堂々と披露した。

 生徒の指導に当たっているのは、同会顧問の花香(はなか)勇教諭(57)=東京都。花香教諭は20代の時に青森ねぶた祭を見て以来、ねぶたやねぷたの迫力に魅せられ、生徒に教えたいと独学で制作方法やはやしを学んだ経験を持つ。15年ほど前に知人を通じて三振り會に入って以降、毎年五所川原立佞武多(たちねぷた)に参加している。

 初めは緊張した面持ちの生徒たちだったが、コースを歩くうちに生き生きとした表情になり、かけ声も大きくなった。笛を担当した鈴木獅煌(しおん)さん(3年)は「はやしの音とねぷたの大きさは想像以上。(周りの演奏に)ついていくので精いっぱいだったけど、気持ちよく吹けた」と笑顔。三振り會で笛を担当する堀内幸治さん(54)=五所川原市=は「みんな楽しそうに吹いていた。それが一番」と生徒らをねぎらった。

 花香教諭は「やっぱり祭りは楽しい。(生徒たちには)きょうの経験で『もっとうまくなりたい』と思ってくれたら」と話した。

 同好会のメンバーは8人全員がラグビー部員。この日は同高ラグビー部と合同チームを組む日本大学第二高校のラグビー部員も三振り會の運行に参加し、引き手として力を発揮した。両校の生徒は最終日の8日も参加する。

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