藤井聡太七冠の “名人” 就位式 「七冠の先駆者」羽生善治九段がウサイン・ボルトに例えて祝福 師匠の杉本昌隆八段「最近つらい事は一緒に写真が…」 

史上最年少で「名人」を獲得した藤井聡太七冠。

残る「王座」への挑戦も決まり、全八冠制覇への期待も高まる中、7日東京で「名人就位式」が行われました。

(日本将棋連盟会長 羽生善治九段)
「藤井聡太殿、あなたは今期、名人決定戦において優勝されました。よってここに第81期『名人』に推載いたします。日本将棋連盟会長、羽生善治」

7日行われた「名人就位式」で藤井七冠に推載状(すいたいじょう)を贈ったのは、史上初の七冠達成者、羽生善治将棋連盟会長でした。

ことし6月、藤井七冠は渡辺明九段を4勝1敗で破り「名人」を獲得。

谷川浩司十七世名人の持つ、名人最年少記録を40年ぶりに更新し、さらに史上2人目の七冠を達成しました。

(藤井聡太七冠)
「『名人』という言葉には子どもの頃から憧れの気持ちがあり、今回の就位には大変な感慨がある。地位に見合った将棋が指せるよう、今後より一層精進していきたい」

八冠制覇も見えてきた藤井七冠に羽生会長はこんな言葉を…。

(日本将棋連盟会長 羽生善治九段)
「陸上の世界にウサイン・ボルトが現れ、次々に世界新記録を塗り替えていった。今はそのような状況ではないかと思っている。“9秒58”という世界記録を超えるような(偉業を)盤上で実現していただけたらうれしい」

会場に集まったのは約250人の関係者やファン。

瀬戸市の広報大使の講談師=旭堂鱗林さんがステージ上でエピソードを披露。

(瀬戸市広報大使・講談師 旭堂鱗林さん)
「瀬戸市の皆さんは、だいたい第一声が『きのう、すごかったね』『すごかったがや』。全部、藤井七冠の話、主語はいらない。地元の人約8割が『8大タイトル』全部言える」

さらに藤井七冠の師匠、杉本昌隆八段も駆けつけました。

(師匠 杉本昌隆八段)
「藤井七冠に『おめでとう』と直接言ったのは、これが初めてかもしれない。昔は重要対局に勝つたびに電話をしていたがキリがないことに気が付いた。タイトルを獲得した翌日に電話をしようと決めている。名人を獲得した翌日も電話をしたが、実は新幹線の中から電話した。大雨で(乗っていた)新幹線が掛川で止まってしまい一晩明かした。こんな、さえないお祝いをする師匠は私くらいではないかなと思って。意外と師匠もつらいと思う事はある」

杉本師匠は、さらに祝いながら、ぼやきながら…。

(師匠 杉本昌隆八段)
「最近のつらい事というと一緒に写真を撮る機会が減ってしまっていて、撮りたくても、なかなか撮らせてくれないというか。昔は気軽にお願いできたが、いろいろな人(関係者)の許可を得ないと撮れない気がしている。きょうは数々のハードルを越え一緒に写真を撮れた。満足」

そして、藤井七冠に今回、贈られた記念品は…。

(司会者)
「記念品は43インチの4K液晶テレビです。(これは)名人の希望品で、43インチは自宅の立て付け家具に、ちょうど収まるサイズ」

人生の大きな目標でもあった「名人」という頂きにたどり着いた藤井七冠。

八冠独占という歴史的快挙への期待がますます高まります。

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