地域の祭りを支え続ける “祭り用品店” の女性に密着 「あぁよかった、みんなに会えて」「祭りは頑張る目安」 コロナ禍を乗り越えて

ことしは各地で夏祭りが復活していますが、愛知県豊川市に長年にわたって地域の祭りを支えている女性がいます。コロナ禍の苦境を乗り越えて奮闘する姿を追いました。

愛知県豊川市の伊奈屋は、全国でも珍しい祭り用品を専門に扱う店です。巻田千恵子さん73歳が1人で切り盛りしています。

(お客さん)
「こんにちは。足袋が壊れちゃって」

連日の祭りで足袋を履きつぶしてしまったそうです。

(巻田千恵子さん)
「当日祭り価格(値引き)でいいでね、きょうは。ありがとね」

店は朝から大繁盛。久しぶりの祭りで衣装を買い直す人も多いといいます。

(お客さん)
「祭りがまた戻ってくるようになったので。ぼくここ数年で(体が)でかくなっちゃったんです。(衣装を)新調するために伊奈屋さんに久しぶりに来て。ことし5~6回来ている」

(巻田千恵子さん)
「コロナ前より(お客さんが)うんと戻ってきた。笑えるぐらいに戻ってくるのね。やっぱり皆さん我慢してたんだと思って。普通(祭りに)出なくてもいい人たちも衣装を買いに来て」

祭りの中止が相次いだ2021年、伊奈屋は廃業の危機に瀕していました。

(巻田千恵子さん)
「お客さんにこんな言葉を出すのは本当に失礼だけど、助けてほしいです」

四半世紀にわたって経営してきた店を何とか存続させようと、手ぬぐいの生地で作ったマスクを販売するなどしましたが…

(巻田千恵子さん)
「(店が)潰れるかもわからないと思ったり不安はあるんですよ。先が見えればまだ頑張れるけど…」

それでもあきらめずに店を続けてきましたが、精神的なダメージも大きかったと話します。

(巻田千恵子さん)
「お互いにつらかった。私もお客さんも。1年に1回『さぁ発散だ』というお祭りで。それがあるから仕事を頑張れる。皆さんそんな考え。お祭りでワーッとやって」

巻田さんは地元の祭りには必ず足を運びます。この日は豊川市の「御油夏まつり」へ。4年ぶりに神輿と山車が街を練り歩きました。

(参加者)
「早くできんかなとずっと思っていました。私たちは(祭りを通して)年寄りと若い子、いろんな年代がつながっている」

地域にとって欠かすことのできない「祭り」を巻田さんが支えています。

(常連客)
「お世話になっている伊奈屋のおばちゃんが来ました~」
(巻田千恵子さん)
「あんたたちがいるから頑張れる」
(常連客)
「まだやめちゃダメだでね。死んじゃだめだよ」

(常連客)
「これは伊奈屋で(衣装を)買いました」「全身、伊奈屋で買いました。買い物に行ったら30分ぐらいは いますね」
(巻田千恵子さん)
「いいんだよ、買わなくても寄ってくれれば」
(常連客)
「それで行っていました、しゃべりに行っていた」
(巻田千恵子さん)
「ああよかった。みんなに会えて」

(巻田千恵子さん)
「まずは4年ぶりに(祭りが)できた感謝と感激。みんな『元気?』とか言って私のところに来てくれるのも私の元気の源です。明日に向けてまた仕事も頑張れるし、祭りは頑張る目安でもあると思う。欠かせないし、ずっとつないでいって続いてほしい」

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