【インドネシア】7月新車販売7%減の8万台[車両] 予測下回る、業界は「動向注視」

インドネシア自動車製造業者協会(ガイキンド)からNNAが8日入手した資料によると、7月の新車販売台数(ディーラーへの出荷ベース、以下卸売り販売台数)は、前年同月比6.8%減の8万416台だった。前月比でも2.6%減少し、業界関係者は「事前予測を下回った」と市況を振り返った。各社は市場動向を注視しつつ、今月10日には販促施策が活発になる国内最大の自動車展示・販売会の開幕を控えており、年後半の販売加速に向け弾みをつけたい考えだ。

ガイキンドによると、7月の卸売り販売台数は、前年同月比6.8%減の8万416台だった。写真は三菱自動車の新型SUVの先行公開イベントの様子。各社は大型展示・販売会を前に、新型モデルを投入する動きを活発化させている=7月31日、ジャカルタ特別州(NNA撮影)

メーカー別では、トヨタ自動車が前年同月比2.4%増の3万29台で首位だった。市場シェアは37.3%だった。一方、上位15社のうち8社が、前年同月比で減少した。

全メーカーによる1~7月の累計卸売り販売台数は、前年同期比4.5%増の58万6,401台だった。

7月の小売り販売台数は、前年同月比5.2%減の7万6,315台。前月からは4.6%減少した。

主要日系乗用車メーカー5社の合計は、前年同月比6.7%減の6万1,695台だった。

全メーカーの1~7月の累計小売り販売台数は、前年同期比6.1%増の57万8,851台だった。

トヨタのインドネシア販売会社トヨタ・アストラ・モーター(TAM)の川島文敬マーケティングディレクターはNNAに対し、「市場全体で前年同月比と前月比がともに減少したことには注意が必要だ」としつつ、まだ市場がスローダウンしていると判断はできないとコメントした。川島氏は、減速が見られた要因について、年初から予測されていた世界的な景気後退の影響が出てきた可能性や、10~20日に開催される自動車展示・販売会「ガイキンド・インドネシア国際オートショー(GIIAS)2023」での販促施策を目当てにした待機需要が発生している可能性なども考えられると指摘した。

別の日系自動車メーカー関係者は、7月の販売結果について、小型商用車など低価格帯モデルを購入する顧客層へのローン審査の厳格化の影響が「顕著に出た」と明らかにした。受注数自体は6月よりも増加しており、購買意欲が落ちているわけではないとの見方を示した。

■トヨタ新型車、販売8割がハイブリッド

川島氏はまた、トヨタの小型スポーツタイプ多目的車(SUV)の新型「ヤリス・クロス」について、7月単月の小売り販売台数が約1,200台だったと明らかにした。うち1,000台がハイブリッド車(HV)モデルで、「HVモデルに、事前の想定を超える非常に高い関心をいただいている」と述べた。ヤリス・クロスはトヨタがインドネシアで展開する2車種目の現地生産HVモデルで、6月中旬に販売を開始していた。

6月にトヨタが発売した、新型「ヤリス・クロス」=5月、ジャカルタ特別州(NNA撮影)

■年100万~105万台の見方を維持

川島氏は、今後の市場動向について、GIIASの開催もあり、年後半に向けて各社が販売の底上げにつなげていく時期だと述べた。市場全体では、年100万~105万台の販売は達成可能だとの見方を維持した。東南アジア地域など周辺国と比較すれば、全体を通して前年並みの販売ペースを維持しているインドネシア市場は堅調だとの見方も示した。

前出とは別の日系自動車メーカー関係者は、今年は新型コロナウイルス禍からの経済活動の回復が期待されるだけに、「新車販売は期待するほど伸びていないのが正直なところだ」と打ち明ける。年後半には年末商戦もあり、販売は上向いていくと予測する一方で、7月の販売台数が前年同月比でマイナスとなったことなどから、今後の見通しには慎重にならざるを得ないとの考えを述べた。

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