石川の最低賃金933円 過去最大42円増、答申

 石川地方最低賃金審議会(会長・髙見俊也北國新聞社論説委員長)は8日、石川県内最低賃金の時間額を42円(4.71%)引き上げて過去最高の933円とする改正を全会一致で決め、長嶋政弘石川労働局長に答申した。2002年度に現在の方式になってから最大の上げ幅で、中央審議会が示した目安40円増に2円を上乗せした。改定額は最短で10月4日に発効する。

  ●目安より2円上げ

 今年度の改定額を巡っては、厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会が全国平均で41円引き上げ、初の千円超となる1002円を目安とした。各都道府県を経済状況に応じてA―Cの3段階に分け、北陸三県を含むBランクの上げ幅は40円が目安となった。

 長嶋局長は7月11日に石川の審議会に対し、現行の県内最低賃金891円の改定を審議するよう諮問。これを受け、審議会は専門部会を設け、今月2日から計4回の会合で審議して引き上げ額を決めた。

 審議では、労働者側が石川よりも現行の時間額が17円高い富山との格差是正を求めて目安額以上の引き上げを要求した。一方で経営者側は原材料価格の高騰などで中小企業・小規模事業者の経営環境が厳しいとして重ねて難色を示した。しかし、労使双方とも物価上昇を考慮した賃上げや地域間格差の是正が重要との認識から歩み寄り、公益委員が提案した42円増で決着した。

 労働局は答申に対する異議申し立てを23日まで受け付ける。最低賃金は県内の全ての労働者約61万人に適用される。

  ●富山は40円増948円

 今年度の改定では、富山県が現行の908円から目安額通りである40円増の948円とした。改定により石川県との差は現在の17円から15円に縮まる。福井県は43円増の931円と決めた。

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