少雨で渇水懸念 茨城県内 国交省「油断できぬ状況」

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那珂川や利根川の流域で7月から少雨が続き、茨城県内で渇水の懸念が増している。那珂川では農業用水の取水箇所を一時変更するなど影響も出始めた。国土交通省関東地方整備局は「油断できない状況」と警戒を強め、県内の流域自治体と対応を検討している。

同整備局常陸河川国道事務所によると、7月の那珂川流域の平均雨量は94ミリにとどまり、この5年間で最少となった。7月の過去10年平均の半分にも及ばなかった。

同県常陸大宮市野口の観測地点は7月の流量が5年間で最少。過去10年平均の57%にとどまった。8月の平均流量は7日時点で10年平均の32%にとどまり、7月からさらに低下している。

那珂川下流域は流量が減少したことで海水が遡上(そじょう)。千波湖土地改良区(同県水戸市)によると、農業用水に塩分が混じる取水障害が発生したため、7月30日から8月2日の間、取水を通常の揚水機場から約6キロ上流の機場に変更した。その後、通常に戻したが、海水が遡上しやすい満潮時を避けて取水している。

利根川上流でも少雨が続く。八ツ場(群馬)、矢木沢(同)などダム9カ所の貯水率(7日時点)は68%にとどまる。

こうした事態を受け、同整備局や流域自治体などでつくる那珂川渇水調整協議会、利根川水系渇水調整協議会幹事会は対応を協議。那珂川では必要に応じて節水を呼びかけていくことを決め、利根川水系では貯水量が増える降雨がない場合、早ければ来週にも協議会を開き、10%の取水制限の可否について協議することを決めた。

現在、台風6号や7号が発生しているが、今後、渇水の懸念解消に結び付くかどうかは不透明だ。

同整備局河川環境課の斎藤充則課長は「油断できない状況。今後の雨の状況を利水、水害防止の両面から注視する」と強調。「節水を心がけてほしい」と呼びかけた。

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