2024年春、TポイントとVポイントが統合されます。ポイントの先駆者で利用者の多いTポイントと、VisaをベースとしたSMBCグループのVポイント、2つの統合で何が変わるのでしょうか?
FPが考える、具体的な活用方法についても解説します。
どう変わる?TポイントVポイント統合
TポイントとVポイントは2024年春に統合され、「青と黄色のVポイント」になります。Tポイントの名称は残りませんが、新ロゴは青と黄色のVに変わり、今までのTポイントのイメージを引き継ぎます。
画像:「青と黄色のVポイント」ウェブサイトより引用
統合後も、今まで通り全国のTポイント提携先でのTカード提示でポイントが貯まります。さらにクレジットカードの三井住友カードがあれば、世界にあるVisa加盟店でポイントが貯まります。Tポイント提携先で三井住友カードを使えば、ダブルでポイントが貯まります。
貯まったポイントは、全国のTポイント提携先はもちろん、世界のVisa加盟店で使えます。
今までのTカードはどうなる?
今まで使っていたTカードは、そのまま継続して使うことができ、変わらずTポイント提携先で貯めることができます。
すでにTポイントとVポイントを両方貯めている場合は、統合後にポイントをまとめられるようになります。交換レートはこれまでと同様、1ポイントは1ポイントのまま移行できます。
現行では、Vポイントを使う際にVポイントアプリが必要です。統合後は、現在のVポイントアプリにTポイント機能がつく予定です。まとめる手続きをすると、店頭提示でのポイント付与、くじ、クーポンなどのTポイントの各種サービスが利用できるようになります。
そもそもTポイント・Vポイントとは?
「何となくTポイントは持っている」「Vポイントは名前しか知らない」という方が多いかもしれません。
2003年から始まったTポイントは、TSUTAYAはもちろん、ウェルシア、ファミリーマート、エディオンなどで使える共通ポイントです。食べログの予約などでもTポイントが貯まります。クレジットカードがなくても、誰でも気軽に貯められます。
近年は扱うお店が減少したり、楽天ポイントやdポイントなどに押され、Tポイントをメインに貯める方は少なくなってきた印象です。
一方、2020年にスタートしたVポイントは、SMBCグループ各社の取引で貯まるポイントです。クレジットカードの三井住友カード、三井住友銀行、プロミス、SMBC日興証券などの利用で貯まります。世界のVisa加盟店で貯められるため、利用の幅は広く海外にも及びます。
知名度はまだ低く、三井住友関連のサービスを使っていなければ馴染みのないポイントでしょう。
TポイントとVポイントが統合すれば、それぞれの弱点を補い合って強みを強化できそうです。今までうまく使えていなかったポイントを活用できる可能性もあります。
新Vポイントの特徴
TポイントとVポイント統合の合言葉は、「どうぞご自由にお持ちください」。
合言葉の通り、新VポイントはTとVそれぞれの利点が活かされ、より使いやすくなりそうです。以下、新Vポイントの特徴を紹介します。
(1)貯めたポイントを使えるお店が増える
先にも説明した通り、今までTポイントの使用先は提携先15万店舗でしたが、統合後は新Vポイントとして使える先が、世界に1億以上あるVisa加盟店に広がります。
Tポイントが利用できる店舗の拡大は、大きな変化と言えるでしょう。普段Tポイントを使うお店といえば、ウェルシアか、ファミリーマートか……といったところでした。Visa加盟店で使えるようになれば、使い先に迷うことはまずなくなります。
(2)タッチ決済に対応
現在のVポイントは、Apple Payや Google ウォレットに設定をすることで、Vポイント残高をコンビニやスーパーで利用できます。Visaのタッチ決済・iDマークのあるお店で利用可能です。
混雑しているレジで「ポイントを使ってください」といったり、財布やスマホからカードを出すのはちょっと気が引けますが、タッチ決済ならスマートです。「今回のポイントは諦めよう」となる機会も減りそうです。記者会見では、いずれはカード提示せず、タッチ決済のみで支払いとポイント付与が両方完結する予定、とのコメントもありました。
(3)三井住友カードで対象のコンビニ・飲食店が7%還元
後でも解説しますが、三井住友カードに入会すると、対象のコンビニ・飲食店でスマホタッチ決済をすると、還元率が7%になります。カードのタッチ決済の還元率は5%なので、2%アップします。
対象店舗はセブン-イレブンやローソンが含まれるので、利用できる機会は多いでしょう。
(4)〇〇経済圏にとらわれないポイント
新Vポイントでは、経済圏という概念を否定しています。通常は、ポイントをたくさん貯めようとすると、いわゆる経済圏に入って、特定のスマホ関連サービスやネットショップの利用に縛られることが多くなります。
新Vポイントは、対象店舗が限定的とはいえ、コンビニや飲食店で7%もの還元になります。付与上限は1ヵ月50,000ポイントなので、実質上限がないようなもの。経済圏なしでこれだけの還元率は珍しいと言えます。
新Vポイントを貯める方法
新Vポイントは三井住友カードの利用で、対象コンビニや飲食店で大きく還元されます。
しかし、クレジットカードにわざわざ入会するのは、少し気が引ける方もいるでしょう。三井住友銀行の口座があれば、少なからずVポイントは貯まりますので、統合後に貯めたTポイントと合算して使うのもひとつの手です。
それぞれのポイントの貯め方や、キャンペーン内容を紹介します。
Tポイントを貯めるには
Tポイントは、界隈では有名な「ウェル活(ウェルシアでのポイ活)」でお得に貯まります。Tポイントは提携先によって200円で1ポイント付与の場合が多いですが、ウェルシアは100円で1ポイント付与されます。
ウェルシアは、毎週月曜日にポイントが2倍付与されます。さらに、毎月20日は貯まったTポイントを通常の1.5倍で使うことができます。
ウェルシアはWAONポイントとTポイントがダブルで貯まり、さらにポイント即時交換ができるので、毎月20日にウェルシアでまとめて使えば、高還元率が実現できます。統合後はどうなるか分かりませんが、現時点では貯まりやすい方法です。
食品や日用品など、必需品を購入できるウェルシアの利用は、節約面からもおすすめできます。
Vポイントを貯めるには
Vポイントは主に三井住友カードの利用でポイントが貯まります。クレジットカードがなくても三井住友銀行の口座があれば、銀行アプリ「Vpassアプリ」に月1ログインで月5ポイント、ATMの利用で20ポイントなど、少しずつ貯められます。
三井住友カードに入会した場合、対象のコンビニや飲食店でタッチ決済を利用(原則1万円以下)すると、通常0.5%のポイントが7%還元になります。家族が三井住友の本会員カードを持つと、さらに対象店舗で最大5%(1人につき+1%)が上乗せされます。
また、Vポイントアッププログラムでは、SMBCグループの各社サービスの利用に応じて、最大6%ポイントアップされます。例えば2023年3月に始まった三井住友銀行のサービス「Oliveアカウント」の契約と、月1のアプリログインで1%上乗せになります。これらを全て使いこなせば、最大18%還元になります。
いずれも、ポイントアップの対象店舗はセブンイレブンやローソン、サイゼリヤなどの一部のコンビニと飲食店に限られます。対象店舗は、「三井住友カード」ウェブサイトをご確認ください。
Vポイントがたまる三井住友カード入会キャンペーン
手間をかけずVポイントを貯めるなら、つみたてNISAがおすすめです。
2023年9月30日(土)まで、三井住友カードの新規入会と、カード利用で8,000円相当のVポイントがもらえます。さらに、SBI証券への新規口座開とVポイント設定、そしてカード登録と積立設定で5,000円相当、対象の現物株式取引で10,000円相当、最大15,000円相当のVポイントがもらえます。
なお入会とカード利用でもらえる8,000円相当のVポイントは、期間限定ポイント(付与月+6ヵ月末まで)ですが、こうしたキャンペーンを利用すると一気にポイントが増えます。
新Vポイント3つの注意点
新Vポイントについて、注意点を3つ紹介します。
(1)有効期限
現在のVポイントの有効期限は、基本的に獲得月から2年間になりますが、統合後はTポイントの有効期限の考え方にあわせて、最終利用日(貯める・使う・交換する)から1年後となります。
(2)三井住友カードの通常還元率
三井住友カードの還元率がアップされるのは、コンビニなど一部の対象店舗のみで、通常利用は還元率0.5%です。1%還元のクレジットカードもある中、単純に比較すると還元率は低い方です。
お得な還元率は「対象店舗でのタッチ決済」ありきですので、使い方によって還元率が大きく変わります。また、ポイント付与は200円ごとの還元率になるので、端数分はポイントが貯まらないことにも注意が必要でしょう。
三井住友カードは、よく利用するお店をあらかじめ最大3つまで登録しておくことで、通常ポイントに加えて、0.5%還元されるサービスがあるので、こちらをうまく利用するといいでしょう。
(3)ポイントアップの継続性
最後の注意点は、お得なポイントアッププログラムなどは、いつ終了するか分からないということです。これは他社も同様で、お得だと思って入会しても、サービス内容が少しずつ改悪されるのはよくあることです。
SMBCグループである安心感は大きいといえますが、公式にも「対象店舗、倍率など、当サービスは予告なく変更・終了となる場合がございます」と記載があることは覚えておきましょう。
ライフスタイルに合ったポイントに絞って貯めよう
近年ではポイントが乱立しすぎていて、逆に面倒な部分も多く、活かせないポイントも増えがちです。ポイントを貯めるには、「◯◯経済圏」に入ったり、カードやアプリをいくつも管理することにもなりがちです。
TポイントとVポイントの統合は、そんな問題に切り込んでくれました。
新Vポイントは、ポイ活せずとも「クレジットカードを利用していたら、いつの間にかたくさんポイントが貯まっていた」が実現するかもしれません。買い物や食事はコンビニや飲食店でさっと済ませ、時間をお金で買うような、むしろポイントは嫌いという方にも向いているのかもしれません。
ポイントそのものは、あれこれ貯めるよりも、できるだけまとめたほうが貯めやすくなります。三井住友カードは還元対象店舗が限られているので、コンビニや外食の利用頻度が高い方が持つべきカードでしょう。
自身のライフスタイルに合うかどうか、比較検討してポイントを選ぶと、より貯まりやすくなりますよ。