がん経験の女性らがモデルの写真展 自身も闘病の写真家佐竹さん開催「私にしか撮れない写真を」

がん経験者のポートレートを集めた個展を開催中の写真家佐竹光雄さん=神戸新聞社

 がんを経験した女性のポートレート約20点を集めた写真展「re:born(リボーン)」が13日まで、神戸市中央区山本通4のアトリエ「の」で開催されている。撮ったのは自身も6年前にがんを経験した写真家佐竹光雄さん(54)=京都府。「見てくれた人の中から、検診や予防ワクチン接種を受ける人が一人でも増えてほしい」と語る。(小尾絵生)

 佐竹さんは2017年、脚に「高分化型脂肪肉腫」というがんを発症し、手術で取り除いた。手術前、医師からは「脚を切断する可能性もある」と言われたという。

 「片脚を失う恐怖や死を意識し、強烈に生きたいと思う気持ちがわいた」と当時を振り返る佐竹さん。回復後は「生きているうちに、やりたいことは何でもやろう」と、その思いを写真展のタイトルに込めた。

 コロナ禍を機に本格的に写真を学び始め、20年、京都芸術大の通信制で3年に編入、写真コースに在籍する。がんサバイバーのポートレートは卒業制作の一環として21年から取り組み始めた。教員の「あなたにしか撮れない写真を」との助言で選んだテーマだ。

 当初は被写体探しに苦労した。だが自身も経験者だと明かすと、それぞれの経験について語り出し、協力してくれる人が出てきたという。

 これまでに撮影したのは8人。「写真を見て手術を受ける気持ちがわいたり、勇気づけられたりする人がいるなら協力したいと言ってくれた」という。

 モデルの希望をくみ、神戸や淡路島、明石、大阪、仙台で撮影。中には4回も撮影に臨んだ人も。手術後の緊張が解けた表情、転移無しが確認された時の笑顔、別のがんが見つかった落胆など、写真からはさまざまな思いが透けて見える。

 「最初は自分のために始めたが、協力してくれた女性たちとの交流を通じ、誰かの役に立ちたいとの思いの方が強くなった」と佐竹さん。30人を撮るのが目標で、協力してくれるがん経験者や闘病中の女性を募っている。インターネットで寄付を募るクラウドファンディングも準備中だ。

 入場無料。正午~午後7時。13日は同5時まで。佐竹さんTEL090.2709.2425

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