遠くの子孫の思い届けに…猛暑で「代理墓参」急増 秩父の墓地、障害者らが作業 7月からほぼ毎日「墓参」

草取り作業や墓石清掃に汗を流す、はんとく会の従業員=7日午前10時ごろ、埼玉県秩父市の秩父聖地公園墓地

 「お盆の時期に、なかなか墓参りに行けない」。そんな墓地所有者らの要望に応えようと、秩父聖地公園墓地の清掃業務実施団体「はんとく会」(埼玉県秩父市大宮)の従業員が7月から毎日、墓地の除草や代理墓参業務に励んでいる。今年はコロナ禍の外出自粛の影響に加え、連日の猛暑で体力を心配する高齢者からの依頼が急増している。従業員たちは熱中症対策を徹底しながら、墓地所有者に代わって、心を込めて先祖供養を行っている。

 1991年に結成した同会は、秩父市内の作業所に勤務する、心身に障害を持つ従業員ら約50人で構成。お墓ディレクターなどの資格を待つ指導員と共に、墓地契約者約1万4千人の広大な聖地公園墓地で、お盆やお彼岸の時期に清掃活動に取り組んでいる。

 主な業務は、墓所敷地内の草取りや落ち葉清掃などを行う「除草作業」と、依頼者に代わって墓石洗浄や供花、合掌などを行う「代理墓参」。従業員は7月から2カ月間、ほぼ毎日、午前9時半から午後3時まで作業を続けている。

 同会によると、サービス利用の大半は秩父地域外の居住者。「遠方で行くのが難しい」と、毎年8月に全国各地から100件前後の申し込みが入る。2020年以降は感染予防などを理由に、代理墓参のサービス利用者が夏期に50件ほど増えている。

 同会事務局長の坂本貴志さん(45)によると、「今年は暑くて足を運べない」という高齢者からの依頼が多く入り、予約件数は8日時点で既に昨年を上回っている。「連日厳しい暑さが続いているが、依頼者の気持ちに応えようと、みんなはもくもくと作業をこなしてくれている」と従業員に感謝している。

 7日は、約20人が墓地周辺の草取り作業や墓石清掃に汗を流した。20年近く業務に携わる、作業員の黒沢理紀さん(46)は「今年は特に暑いので、帽子をかぶったり、保冷剤を身に着けたりで、熱中症に気を付けている。みんなと楽しく作業できているので、とてもやりがいがある」と笑顔を見せた。

 秩父聖地公園墓地内の除草作業、代理墓参に関する問い合わせは同会(電話0494.25.2055)へ。受付時間は平日の午前10時から正午と、午後1時から同4時。

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