リカルド・ゾンタがポール・トゥ・ウイン、ロッシも勝利でトヨタ陣営が完全制覇/SCB第6戦

 南米大陸最高峰のハコ車選手権、SCBストックカー・ブラジル“プロシリーズ”第6戦が8月4~6日にサンパウロ内陸部のアウトドローモ・ヴェロチッタで争われ、前戦インテルラゴスに続きTOYOTA GAZOO Racingブラジル陣営が席巻。

 元F1ドライバーのリカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)が今季初の予選最速からレース1でのポール・トゥ・ウインを完成させると、続くレース2ではシリーズ唯一の“外国人ドライバー”として道を切り拓くアルゼンチン出身マティアス・ロッシ(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)が、こちらもホセ-カルロス・パーチェに続く今季2勝目を飾っている。

 南半球に位置しながら、気温30度を超える酷暑の週末となったヴェロチッタでは、金曜最初のFPこそ同地で2度の優勝経験を持つフェリペ・フラーガ(ブラウ・モータースポーツ/シボレー・クルーズ)が最速タイムを記録。前戦の車両火災から復活を果たしたストックカー史上最年少チャンピオンが、出走31台中22台が秒差圏内というおなじみの接近戦のなか貫禄を示したが、明けた土曜のFP2を挟み、予選は一転トヨタ・カローラ勢が席巻する展開に。

 セッション最終局面で自己ベストを更新し続けたゾンタが、ここヴェロチッタで3年連続3回目のポールポジションをマークした。

「僕らがチョイスしたタイヤコンパウンドが柔らかいことは誰もが知っているし、マシンのセットアップに多くの労力を費やさなければならなかったが、それをやり遂げただけだ。チームにとって当然のポールポジションだよ」と、今季よりハンコックが供給する新コンパウンドの挙動を理解したRCMの功績を称えるゾンタ。

 そのヴェロチッタ2勝を誇る元F1組の隣には、同じくTGRブラジル陣営のセルジオ・ヒメネス(スクアドラ・キアレッリ/トヨタ・カローラ)が並びキャリアベストグリッドを獲得、以下セカンドロウには同じく初のQ3進出となった20歳のジャンルカ・ペテコフ(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)と、王者ルーベンス・バリチェロ(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)が並び、その偉大な父の背後となる6番手には、ギリェルメ・サラス(KTFスポーツ/シボレー・クルーズ)を挟んで愛息“ドゥドゥ”ことエドゥアルド・バリチェロ(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)が喰い込むなど、カローラが猛威を振るう結果となった。

元F1ドライバーのリカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)が、ここヴェロチッタで3年連続3回目のポールポジションをマークした
気温30度を超える酷暑の週末となったヴェロチッタでは「僕らがチョイスしたタイヤコンパウンドが柔らかいことは誰もが知っているし、マシンのセットアップに多くの労力を費やさなければならなかった」とゾンタ
タイトル防衛を期す王者ルーベンス・バリチェロ(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)も、連続5位で週末を終える
週末の主役のひとりとなった0歳のジャンルカ・ペテコフ(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ/左)「僕の言葉はふたつだけ。幸せと感謝だ」

■「すべてうまくいった」と今季2勝目のロッシ

 明けた日曜現地午前11時半に開始された30分+1ラップ勝負では、やはり気温約30度と暑さの続くなか必須の義務ピットウインドウを除いて、ポールシッターのゾンタが実質的に全周でリードを保つことに。この作業後のセカンドスティントでは、3番手発進だったペテコフが迫り最終ラップの“プッシュ・トゥ・パス”勝負に持ち込むも、ゾンタがヴェロチッタでの3勝目、そしてSCB通算10勝目を確定させた。

「うれしすぎる結果だ。レースで速いクルマがあったから、ブレーキとタイヤを大事に扱った。インテルラゴス以来、僕らは非常に競争力があり、ここからすべてのレースで良いスコアを獲得し、タイトルを争うときが来た」と、先月のインテルラゴスに続く今季2勝目を手にしたゾンタ。

 一方、このヒートでネルソン・ピケJr.(クラウン・レーシング/トヨタ・カローラ)に続きトップ10に喰い込んだロッシは、同じく30分+1ラップ勝負のレース2に向けリバースポールを確保する。

 これが最大の呼び水となり、オープニングラップで発生した多重アクシデントで、ゾンタを含む数名のドライバーが争いから脱落するなか、TGRのワークスカラーをまとった117号車はセーフティカーが導入される荒れた事態も回避することに成功。

 そのままリスタート後の義務ピットも完璧にこなし、この機会に9番手から2番手にジャンプアップしてきた2021年王者ガブリエル・カサグランデ(A.マティス・フォーゲル/シボレー・クルーズ)や、シリーズ3連覇のダニエル・セラ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)ら歴戦の実力者も退け、ロッシがSCB通算4勝目を飾った。

「先頭でゴールすることを目指して計画された旅だった。レース1を16番手からスタートするのは非常に難しいだろうということは分かっていたが、すべてうまくいった」と、第5戦からの連続勝利で早くも今季2勝目を挙げたロッシ。

「そのレース2は1周目で起こったこととセーフティカーのおかげで、僕も幸運だった。鍵となったのはクルマで、レース1、そして何よりもレース2では非常に良いペースを見せた。それにピットストップもね。フルタイム・スポーツとトヨタは素晴らしい仕事をしてくれたし、今日は予想以上に良かったよ」

 依然としてTGR陣営のチアゴ・カミーロ(イピランガ・レーシング/トヨタ・カローラ)が選手権首位を守る2023年SCBは、続く8月25~27日にシリーズではおなじみゴイアニアで第7戦が争われる。

レース2では、シリーズ唯一の”外国人ドライバー”として道を切り拓くアルゼンチン出身マティアス・ロッシ(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)が隊列を率いる
117号車はセーフティカーが導入される荒れた事態も回避することに成功。歴戦の実力者も退け、ロッシがSCB通算4勝目を飾った
選手権トップ3が3点差。2023年はタイトル争いの点でまったく予測不可能なシナリオで前半戦終了を迎えた
「鍵となったのはクルマで、レース1、そして何よりもレース2では非常に良いペースを見せた」とレース2ウイナーのロッシ

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