激闘ナインに「感動」 夏の甲子園 富山商、初戦で涙

延長タイブレークに突入し、必死に声援を送る応援団=甲子園球場

 延長タイブレークにもつれ込む激戦を繰り広げた富山商ナインに、三塁側アルプス席の大応援団は力強い声援を送り続けた。9日の夏の甲子園大会で、富山商は十二回にサヨナラ負けを喫したものの、随所に好守を披露した。スタンドからは「よく頑張った」「感動した」との声が掛けられ、最後まで諦めないナインの健闘をたたえた。

 アルプス席には、19台のバスで到着した同校生徒や保護者ら約600人をはじめ、関西圏在住のOBらも詰めかけ、一体となって選手にエールを届けた。

 二回表に富山商が鶴田尚冴(しょうご)選手の遊ゴロで先制し、七回裏に白木球二選手と竹田哩久(りく)選手の華麗な連係プレーが飛び出した場面では、スタンドが一気に沸き上がった。応援部の西野颯真団長(3年)は「9年ぶりの出場で、その思いを全部ぶつけた」と話し、ベンチ外選手でつくる野球部応援団の池田蒼真さん(3年)も「アルプスの盛り上がりを球場全体に伝染させたい」と声を枯らした。

 延長タイブレークに突入し、十一回裏の秋田幹太選手の好捕など再三のピンチをしのぐプレーでボルテージは最高潮に達し、肩を組みながら吹奏楽部65人の迫力ある演奏とともに最後まで選手を鼓舞し続けた。同部の米愛花莉(あかり)部長(3年)は「グラウンドに立てなくても、野球部員と同じ気持ちで戦った」と話した。土肥恵一校長は「まさに守備合戦で、持ち味を十分に出してくれた。よくやってくれた」とたたえた。

  ●野球部OBも声援

 アルプス席には、富山商を今春卒業した野球部OB10人も訪れ、後輩にエールを届けた。金沢星稜大1年の東諒大さん(19)は「自分たちは準決勝で高岡商に負けてしまった。聖地に立つ後輩がうらやましい」と声援を送った。

  ●保護者「ありがとう」

 観戦した保護者からは選手に感謝やねぎらいの声が聞かれた。九回まで出番がなく、十回に登場した秋田選手の母美紀さん(54)はうれしさと恐ろしさが入り交じったとし「野球を始めてから12年間お疲れさまという気持ち。甲子園に連れて来てくれてありがとうと伝えたい」と語った。

 エースの上田海翔主将の父哲也さん(53)は、わが子の活躍に「よく一人で投げきった。どうせなら勝たせてあげたかったが、周りに助けられながら頑張っていた」といたわった。

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