ガソリン高騰、旧盆直撃 観光関係者、出控え懸念

レギュラー価格185円と表示されたガソリンスタンド=9日、金沢市内

  ●石川183円、15年ぶり水準

 石川県内の給油所でガソリンの店頭価格が高騰を続けている。経済産業省が9日に発表したレギュラーガソリン1リットル当たりの県内平均小売価格(7日時点)は183円10銭で、2008年8月以来15年ぶりに180円台に突入した。前週から3円70銭の値上がりとなる。物価高や電力代の高騰に加え、家計にはさらなる打撃となり、旧盆の行楽シーズンを控え、観光関係者からは出控えを懸念する声が聞かれている。

 県内のレギュラーガソリン価格は、04年6月の調査開始から4番目の高値となった。これまでの最高価格は、中東情勢の緊張と新興国の急速な経済発展の影響などから急騰した08年8月4日時点の187円30銭となっている。

 9日、金沢市内のガソリンスタンドには「フリー188円、会員価格185円」のレギュラー価格が掲げられた。

 日頃から車を利用するという上田誠一さん(78)=金沢市=は「車は生活に欠かせないので使用を減らすことはできない。ガソリンは高すぎるが仕方ない」とため息をついた。

 店によると、価格高騰に伴い、ガソリンを満タンで給油するドライバーが減り、来店台数が増えた一方、ガソリンの出荷数量は減少している。担当者は「値上げを止めることはできないので、お客さまが利用しやすいよう提案していく」と話した。

 旧盆の時期を前に、観光関係者も客足への影響を心配する。

 加賀市山代温泉観光協会の安念義浩事務局長(67)は、温泉を訪れる観光客は北陸や関西、中京からのマイカー利用者が8割だとし「近場の旅行先に切り替える動きが出てくるかもしれない」と車での長距離移動を控える動きを警戒した。

 県内では、輪島市が市外からの宿泊客にガソリンや軽油を1リットル当たり30円補助する独自の事業を展開している。市観光協会の平正秋理事(48)は「独自の割引事業への注目が高まるかもしれない」とする一方、車が欠かせない奥能登観光への影響を危ぶんだ。

 県内のハイオクガソリンは平均で3円50銭高い193円80銭だった。軽油は3円40銭高い160円70銭。灯油は18リットル(一般的なタンク1個分)当たり54円上昇し、2150円で、いずれも全国の平均を上回った。

 足元で原油価格が高騰していることに加え、政府は価格急騰対策として支給している補助金を6月から段階的に縮小している。補助金の支給は、9月末で終了する予定。円安や原油価格の動向次第では、ガソリン価格が一段と上昇する可能性があり、政府は難しい対応を迫られそうだ。

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