結婚や出産…慶事あった家庭に「灯籠渡し」 京都・亀岡で4年ぶりに全行事実施

輪番の上佐伯区の民家に運び込んだ台灯籠を組み立て直す住民たち(亀岡市薭田野町)

 京都府亀岡市の旧佐伯郷一帯(薭田野、吉川町)で営まれる祭礼「佐伯灯籠」が7日、始まった。新型コロナウイルスの影響で、全ての行事を実施するのは4年ぶり。この日は輪番の地区に灯籠を預ける「灯籠渡し」があり、慶事があった家庭に、紅白の紙テープで飾り付けられた灯籠が運び込まれた。

 薭田野、御霊、河阿(かわくま)、若宮の4神社合同の祭りで、国の重要無形民俗文化財に指定されている。2020、21年は中止、22年は行事と参加人数を大幅に縮小していた。

 祭りでは14日の本祭までの1週間、輪番区で神を迎えるために、稲作の風景を再現した神灯籠5基と人形浄瑠璃を上演する台灯籠1基を、区内の民家で預かる。今年の輪番を務める薭田野町上佐伯区の住民らが佐伯灯籠資料館(薭田野町)に集い、最初にくじ引きで神灯籠の預け先を決めた。

 大人に混じって子どもたちも一緒に、結婚したり子どもが生まれたりした家まで運んだ。幅が約2メートル、高さが約1.9メートルある台灯籠はそのままでは入らないため、一度分解して居間に運び入れ、組み立て直した。

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