猛毒クラゲにご用心 茨城県内海水浴場 専門家「触らないで」

北茨城市の海岸で見つかったカツオノエボシ(読者提供)

酷暑の日本列島。茨城県内の海水浴場は、楽しさや涼を求める人々でにぎわっているが、気を付けなければならないのがクラゲ。強弱はあるものの毒性のある種が多く、県内の海では「電気クラゲ」の異名を取るカツオノエボシなども見つかっている。クラゲに刺される被害も報告されており、専門家は注意を呼びかけている。

北茨城市内の海岸で3日、奇妙な形のクラゲが見つかった。体長は6センチ程度。透き通って青みのある風船のような体で、触手のようなものも伸びる。クラゲに詳しいアクアワールド県大洗水族館展示課の齋藤伸輔さん(51)は一目で「毒性の強いカツオノエボシ」と判定した。

茨城県の近海では、水温の高まりとともに、熱帯や亜熱帯の海に生息するクラゲが出没するとみられる。齋藤さんは「日立沖の定置網などでは毎年、毒性の強いクラゲがかかる」と近年の傾向を解説した。

茨城県沿岸で注意が必要なのはアカクラゲやアンドンクラゲなど。中でも、カツオノエボシは「電気クラゲ」の異名が付くほどの猛毒を持ち、長い触手に毒針がある。波打ち際などに漂着した死骸でも、触れた刺激で毒針が発射されるため、齋藤さんは「素手で触るのは厳禁」と話した。

大洗サンビーチ(大洗町)で活動する「大洗サーフ・ライフセービングクラブ」のジーコ足立代表は「クラゲ被害は水温や海流、風向きでも増減する」と話す。クラゲかどうか判別が難しいケースはあるものの、今年は7月の海開き以降で30件余りの被害を確認。カツオノエボシに刺された被害も1件あったという。

カツオノエボシに刺されると、全身にアレルギー症状を引き起こす「アナフィラキシーショック」が生じることも。海水浴中にショック症状になると溺れるリスクがあり、ジーコさんは「刺されたらすぐに海から出るのが大切」と強調。齋藤さんも「刺されたら素手で触れず、触手をピンセットや割り箸などで取り除いて」と語り、早期の医療機関受診を勧めている。

毒性の強いアカクラゲ(アクアワールド茨城県大洗水族館提供)

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