大雨被災の秋田・男鹿市で給水支援 派遣の青森市職員「断水の危機意識必要」

男鹿市総合体育館で行った市民への給水活動=7月19日、男鹿市(青森市提供)
被災地での活動を振り返った(左から)川村主幹、坂本主査、戸來技師

 7月14日からの大雨により断水した秋田県男鹿市を支援するため、青森市職員4人が7月18、19日、男鹿市に派遣された。このうち3人の職員が9日までに東奥日報の取材に応じ、給水活動などを行った様子を語った。現地で給水所にポリタンクを持参したり、家と給水所を何度も往復したりする住民の様子を見て、身近で断水が起こる可能性があるという危機意識を一人一人が持つ必要があると感じたという。

 男鹿市では、7月14日からの大雨により発生した大規模な地滑りで水道管が破損し、断水した。18日に日本水道協会東北地方支部から給水活動の支援要請を受け、青森市施設課の川村正樹主幹、坂本和彦主査、根上拓也主査、戸來(へらい)力技師が、給水車1台とともに被災地へ向かった。現地には弘前市や秋田市、盛岡市など青森市を含む北東北3県の7市、八戸圏域水道企業団を含む2水道企業団の職員が駆け付けた。

 青森市の4人は、男鹿市内の浄水場から給水所や公共トイレ、避難所などに水を届けた。市民に水を配る作業も行った。

 坂本主査らによると、断水は解消されつつあったが、給水所には給水開始直後すぐに人が並び、ポリタンクを持った20~30人ほどの列ができるなど、市民が不便を強いられている様子がうかがえた。川村主幹は「水をきれいにする浄水場の作業は電気を使うため、停電していたらできなかった。停電でなかったのが不幸中の幸い」と振り返った。

 男鹿市のツイッターでは青森市からの派遣が情報発信されており、戸來技師は「市民に『ありがとう』と感謝されたこともあり、励みになった」と述べた。

 男鹿市では、給水所に行けない1人暮らしなどの市民に水を戸別配布しており、青森市も復旧状況に応じて戸別配布できる体制づくりを検討する必要があると実感。また、現場では水道部以外の職員が指示を出していたことから、部局に関係なく職員が水道に関する知識を身に付け、災害時に対応できる体制の検討も重要だと感じたという。

 県内では2021年8月に下北、22年8月に津軽地方で豪雨災害が発生した。川村主幹は日頃からハザードマップで自宅近くの避難場所や避難経路を確認し、飲料水や懐中電灯、防災グッズを常備し「一人一人が断水が身近に起こり得る事態だという危機意識を持ち、万が一に備え、自分で自分の身を守ることが大事だと感じた」と語った。

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