KNT、約9億円のコロナ事業不正請求で髙浦雅彦社長が引責辞任・グループ役員が報酬自主返納

近畿日本ツーリスト(KNT)は8月9日、新型コロナウイルス関連業務の不正請求事件を受け、髙浦雅彦社長が8月31日付で辞任すると発表した。新社長には9月1日付で近畿日本ツーリストブループラネットの瓜生修一氏が就く。同日に開いた記者会見で、髙浦社長は「再発防止と今後の道筋ができたとはんだんした。けじめをつけるために辞任をすることを決断した」と話した。他の役員や社員の処分は、社内で懲戒委員会を開き、8月4日付で決定。KNT-CTホールディングス(HD)の米田昭正社長を含む役員が報酬を自主返納するともに、逮捕・起訴された4人を懲戒解雇、他33人を処分した。

KNTは新型コロナワクチンのコールセンター業務などで、同社関西MICE支店、静岡支店(ほか、不注意を含む2店舗)が、大阪府東大阪市や静岡県焼津市、掛川市、大阪府などの自治体から業務委託費を不正請求していた。

記者会見では、髙浦社長が最終的な金額は約9億円、東大阪市の事案で3億強、焼津市と掛川市を合わせると半分以上になったを発表した。今回の不正について髙浦社長は、「業績の報告や確認を行っていたが、過大請求の発生についての議論や発見には至らなかった。猛省しており、再発防止策に生かしていく」と語った

KNT-CTHD米田社長「企業風土の改革に取り組む」

会見の冒頭、KNT-CTHDの米田昭正社長が謝罪

持ち株会社であるKNT-CTホールディングの米田昭正社長は、「お客様はもとより、取引先、関係先からの信用を裏切り、多大な迷惑をかけている。社員逮捕という誠に遺憾な事態を招いたことは痛恨の極み。改めて心からお詫び引申し上げる」と話した。米田社長への辞任に対する問いには、「新体制をスタートするまでが私の役割。2人が一度に退任すると、改革が困難となる。しばらくは、瓜生新体制を管理監督する」と述べた。今後は、信頼回復に向けて経営陣が各地域で従業員と対話するタウンホールミーティングなどを積極的に行い、企業風土の改革に取り組む。

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