戦勝伝える米雑誌を保管 氷見・北村さんの義父宅に「LIFE」

戦勝を伝える写真を眺める北村住職=氷見市宮田の佛心寺

  ●抱き合う男女、歓喜の群衆「日本とまるで違う」

 太平洋戦争終戦直後に発刊された米国の雑誌「LIFE(ライフ)」が、氷見市宮田の臨済宗佛心寺住職の北村月峰(げっぽう)さん(74)の義父宅から見つかり、北村さんが大切に保管している。米兵向けの非売品とみられる雑誌には、男女が抱き合い戦勝に沸く姿など、敗戦した日本とは異なる光景の写真が掲載されており、北村さんは「空襲で焦土となり、打ちひしがれていた日本とはまるで違う」と終戦記念日を前に興味深くページをめくっている。

 雑誌は、都内に住み、2012年に87歳で亡くなった北村さんの義父引場英二さんが保管していた。昨年義母も他界し、遺品を整理したところ見つかった。

 発刊日は1945(昭和20)年8月27日で、表紙には「米軍向けに配られた非売品」と記されていた。全51ページで、連合国軍最高司令官マッカーサー元帥ら陸海空軍の将校の顔写真をまとめた見開きのページに始まり、当時のトルーマン米大統領が戦勝を宣言した会見などが報じられている。

 ワシントンやシカゴ、ハワイなど主要都市で米国民が歓喜に沸く様子を捉えた写真も多数掲載され、ニューヨークのタイムズスクエア前を埋めた群衆や、キスをして抱き合うカップルなどから現地の喜びが伝わる。表紙は水着姿の女性が飾っており、北村さんは「豊かさが伝わり、日本はよく戦争したなと思う」と話す。

 北村さんによると、義父の引場さんは学徒出陣し、終戦時には千葉の砲兵隊に所属していたが、雑誌を所持していた経緯は分からない。北村さんは「歴史の転換点を知る品として興味深い。義父はこれを読んで、何を感じたのだろうか」と思いをはせた。

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