気温39.3度を記録し、青森県内観測史上最高を52年ぶりに更新した10日の弘前市。歴史的一日となったこの日の炎天下、あちこちで多くの笑顔と困り顔に出会った。
午前10時。青天に真夏の太陽が燃えていた。豊原1丁目で花園保育園など3園合同のねぷた運行がスタート。子どもたちはぬらした帽子や手拭いを身に付け「ヤーヤドー」と威勢のいいかけ声を上げた。予定より短い10分ほどで終了。佐藤学美(まなみ)副主任は「『暑すぎて外に出られないことがあるんだよ』と子どもたちに伝えたのは、今年が初めてです」。
肌に圧力を感じるような日差し。しかし気温ほどの暑さを感じないのは湿度が高くないからか。でも、5分ほど歩くと汗が止まらなくなった。
11時前には37度に。末広4丁目の城東公園では、暑さに耐えかねた子どもたちが次々と園内の噴水にドボン。佐藤誠仁君(弘大付属小5年)と瑛心君(同2年)の兄弟は「思ったよりぬるいけど、気持ちいい」と笑顔を見せた。
国道7号沿いで行われていた街路樹の整備作業は昼で中止に。作業に加わっていた永井勇人さん(65)は「風がなくなると倒れてしまいそう」とぐったりした表情を見せた。
昼過ぎも弘前公園では弘前城の石垣修理工事が進んだ。石は熱くて触れない。石工たちは鉄製の工具を、水をかけて冷やしてから使っていた。森岡毅さん(59)は香川県出身。「こっちの夏は涼しいと思っていたのに、関西と何も変わらないよ」と苦笑い。
同市新里のゴルフ練習場「弘前ゴルフプラザ」は静かだった。客は4、5人とまばら。レッスンプロの奈良修一さん(63)は「見ての通り。いつもはお客さんがコースに出る前に朝早くから来るが、今日は来ない」と困り顔だった。
冬に融雪に使う地下水を打ち水に使う店も。セブン-イレブン弘前外崎店オーナーの美濃又明夫さん(64)は「『涼しげだね』と声をかけられる。見た目だけでも涼しくしたい」と話した。
夕方になるにつれ少しずつ暑さが緩む。それでも午後7時で30.5度あった。会社員松山文史さん(38)はいつもより遅い時間に弘前公園を走り始めたが、滝のような汗。「(秋になって)早く涼しくなってほしい」と笑った。
▼酷暑「もうたくさん」 39度/五所川原
最高気温が39.0度と観測史上最高となった五所川原市も10日、一日を通して強い日差しが照りつけた。街を歩く人の姿は少なめで、2日連続の猛暑日に市民はうんざりといった様子だった。
市内の冷菓店で働く女性(66)は「書き入れ時だけど、お客さんはあまり来ない。これだけ暑いと買いに来る気力もないのだろう」と嘆き節。アイスを買いに来た市内の会社員楢木祥治さん(55)は「妻と、産休中で帰省している娘がこの暑さでへろへろ。食べさせてあげたい」と足早に自宅へ向かった。
市内のショッピングセンターに来ていた同市の荒関勝子さん(76)と三上和子さん(75)は「暑いのはもうたくさん。でも、たくさん食べて、好き嫌いせずにいるから夏バテしていない。暑さに負けないためには食べることが大事」と話した。
隣の鶴田町では同日、2日間の日程で4年ぶりの「つるたまつり」が始まったが、うだるような暑さで、役場駐車場に設けられたミニ縁日を訪れる子どもの姿も日中はまばら。町側は対策として、急きょミスト扇風機を設置。11日も好天が予想されるため、同日屋外で行う予定だった一部催しを屋内実施に変更した。
町企画観光課の神嘉徳課長は「とにかく熱中症には気を付けるように伝えている。天気が良くてありがたいが、ここまで暑くなくてもいいのに」と苦笑いしながら語った。