立山快晴、にぎわい復活 山の日、登山道に列

多くの登山客が行き交う雄山山頂につながる遊歩道=立山・室堂

  ●コロナ前並み

  ●山小屋満室

 「山の日」の11日、北アルプス・立山一帯は早朝から快晴に恵まれ、子どもからお年寄りまで大勢の登山客が訪れた。雄山山頂(標高3003メートル)につながる登山道に長い行列ができ、満室の山小屋も目立った。連日好天が続き、立山黒部アルペンルートの入り込み者数は「ほぼコロナ前並み」となっており、夏山のにぎわいが復活してきた。

  ●御来光、絶景 

 雄山山頂は、遠くに白山や富士山を見渡せるほどの好天に恵まれ、午前5時ごろに雲海の奥から太陽が昇り御来光が差し込むと、登山者が幻想的な光景に見入った。「さすが山の日、今シーズン一番の絶景だ」。室堂ターミナルにあるホテル立山で働く藤岡俊明さん(29)=金沢市=はオレンジ色に染まった空を見詰めながらつぶやいた。

 室堂ターミナル着の立山高原バスは午前7時の始発便からほぼ全て満席。大きなリュックを背負った登山者や散策目的の家族連れらが次々と降り立った。

 立山黒部アルペンルートを運営する立山黒部貫光(富山市)によると、11日の入り込み者数(速報値)は富山側が2630人、長野県大町側が4330人。好天だった昨年の「山の日」より2割ほど多い。4月以降の入り込み者数も「コロナ前と同水準」(担当者)で推移している。

 11日は多くの人が雄山山頂を目指したため、一ノ越から山頂までの大小の石が交じった岩場で「渋滞」が発生。家族や友人と登った舟橋小6年の山下陽弘君は「少し進んでは止まっての繰り返しで疲れたけど、景色をたくさん楽しめた」と達成感に満ちた表情で話した。

  ●涼しい室堂「避暑に最適」

 室堂周辺の気温は11日午後3時時点で19.9度。散策目的で軽装の人も多く見られた。神奈川県葉山町から家族9人で訪れた佐藤正さん(86)は妻と一緒に青々としたみくりが池を眺めながら「夏の立山は避暑にもってこい。登山をしなくても景色や高山植物を楽しめる」と笑顔を見せた。

 連日の好天も影響して、山小屋の利用も好調に推移している。立山室堂山荘は客室全37部屋の予約が29日まで埋まっている。昨年の夏は新型コロナウイルスの影響で一時休業していたため比較できないが、担当者は「物価高騰で経営環境は芳しくないが、今のところは順調だ」と話した。

© 株式会社北國新聞社