1200人、芽吹く「卓球熱」 金沢ポート・ホーム開幕戦

金沢ポートの白熱したプレーに声援を送る観客=金沢市総合体育館

 卓球Tリーグ男子に北陸から初参入した金沢ポートが12日、金沢市総合体育館でホーム開幕戦に挑んだ。昨季3位の岡山リベッツに2―3で競り負けたものの、観客1197人は最高峰のプレーの連続に大盛り上がり。石川に芽吹いた「卓球熱」を実感する船出となった。

  ●西東監督「胸いっぱい」

 岡山の選手紹介が終わると、会場は暗転。「さあ歴史の第一歩、船出のホーム開幕戦です」。司会者の第一声が響き、客席が沸いた。スモークの中から金沢の選手がスポットライトに照らされ登場。派手な演出に歓声と拍手のボリュームが一気に上がった。

 試合は午後2時に始まった。ひときわ大きな声援を受けたのは七尾市出身の松平健太選手だった。「地元に恩返ししたい」とチームに加入。その心意気に心をつかまれたファンも多い。

 加賀市山代温泉の深尾恵子さん(59)は「Tリーグで地元のチームを応援できるなんて夢のよう。2カ月前にチケットを買って待ちわびていた」と笑顔をみせた。金沢市高岡中卓球部の林菜月さん(15)は石川ゆかりの選手で構成されるチーム構成にも触れ「みんなかっこいい」と熱戦に目をこらした。

 目標の1000人を大幅に超える客入りに、西東輝監督は「胸がいっぱいになった。本当にありがたい」と声を震わせた。

 県外勢が大半を占める他のチームと違い、地域密着を掲げて地元ゆかりの選手にこだわったチーム作りを進めてきた。選手と一緒にビラを配って知名度を上げ、スタッフ総出でチケットを売った。西東監督は「試合には敗れたけど、石川の人に見せたかった金沢ポートの卓球ができていた」と手応えを口にした。

 試合後には選手のサイン会と撮影会が行われ、多くのファンがお目当ての選手に列を作った。

 試合前は女性の和太鼓集団「DIA+(ダイアプラス)」の演奏に続き、始球式では背番号7のユニホームを着た村山卓金沢市長が松平選手のサーブを返してみせた後、自ら「もう1回」とリクエストして豪快なスマッシュを決めた。

  ●グッズも大売れ

 会場前に設営されたTリーグ公式ショップでは正午の開場から3分で約50枚以上用意した松平選手の応援フェースタオルが完売した。選手のキーホルダーや応援Tシャツも人気で、担当者は「注目度の高さを身に染みて感じる」と話した。

暗転した会場で登場する松平選手
試合後に行われた撮影会で金沢ポートの選手と写真に収まるファン

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