【プレミア注目プレビュー】今夏大幅刷新の名門2クラブが開幕で激突…7戦ぶりの決着なるか

[写真:Getty Images]

2023-24シーズンのプレミアリーグ開幕節、チェルシーvsリバプールが、日本時間13日24:30にスタンフォード・ブリッジでキックオフされる。昨シーズンのトップ4圏外からの巻き返しを図る名門2クラブが激突する、開幕節屈指の好カードだ。

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トッド・ベーリー氏率いる新オーナーの下で臨んだ昨季は無軌道な補強や指揮官交代の影響で12位フィニッシュという屈辱を味わったチェルシー。捲土重来を期す今季はポチェッティーノ監督を新指揮官招へい。

さらに、大幅な刷新が必要となった移籍市場ではマウントやロフタス=チークといった生え抜きに加え、カンテやコバチッチ、ハヴァーツ、アスピリクエタら近年の主力や功労者を相次いで放出。代わって若手偏重の補強方針の下、エンクンクやジャクソン、ウゴチュク、ロベルト・サンチェス、ディザジといった新戦力を補強。ただ、開幕時点で新ストライカー、手薄な中盤の補強は完了せず。現状のスカッドを考えれば、昨季2人の指揮官を解任したオーナーグループもアルゼンチン人指揮官にある程度の時間を与えるはずだが、苦戦必至の序盤戦でしぶとく勝ち点を積み重ねたい。

一方、多くの負傷者に悩まされて5位フィニッシュとなったリバプールは今季もクロップ体制を継続。ただ、今夏の移籍市場ではフィルミノ、ミルナーが契約満了で、前キャプテンのヘンダーソンとファビーニョがサウジアラビアからの巨額オファーを受け入れて電撃退団。近年の黄金期を支えた多くのベテランがチームを離れ、ひとつの時代が終焉。大幅な刷新が急務となった中盤ではマク・アリスター、ソボスライという人気株を早い段階で獲得したものの、以降の獲得交渉は難航。また、ディフェンスラインの選手層にもやや不安を抱える。

それでも、前線ではエースのサラーに加え、負傷明けのルイス・ディアスとジョタ、加入2年目で真価発揮が期待できるヌニェス、ガクポと多士済々な面々が揃っており、アレクサンダー=アーノルドの“偽SB”起用をうまくマネジメントできれば、十分に優勝争いに絡む力はあるはずだ。

なお、近年の全体戦績ではリバプールが圧倒的に優位に立っているが、直接対決の戦績は非常に拮抗。昨シーズンの2度の対戦はいずれもゴールレスドローで、2021-22シーズンの2つの国内カップ決勝では最終的にリバプールがPK戦を制しているが、記録上はいずれもドロー扱いに。そのため、両者は直近の公式戦6試合連続ドロー中だ。また、今夏の移籍市場ではカイセド、ラヴィアと2選手を巡って競合中で、そちらの争いではチェルシー優位との声もあるが、その関係性が今回の対決をより盛り上げる。

◆チェルシー◆

【4-2-3-1】

予想スタメン

(C)CWS Brains,LTD.


GK:サンチェス

DF:リース・ジェームズ、チアゴ・シウバ、コルウィル、チルウェル

MF:ギャラガー、エンソ・フェルナンデス

MF:スターリング、チュクエメカ、ムドリク

FW:ジャクソン

負傷者:GKベッティネッリ、DFフォファナ、バディアシル、チャロバー、MFエンクンク、FWブロヤ、マドゥエケ

出場停止者:なし

出場停止者はいない。負傷者に関しては共に手術を受けたフォファナとエンクンクに加え、バディアシルら守備陣を中心に数選手が欠場となる。

システムはプレシーズンを通してメインシステムとして採用する[4-2-3-1]で臨むことになる。スタメンに関しては前述のメンバーを予想。

GKに関してはレアル・マドリー行きが決定的と報じられるケパではなく新戦力のサンチェスを起用する見込み。中盤に関してはエンソ・フェルナンデスの相棒にアンドレイ・サントスやウゴチュクを置きギャラガーを1列前で起用する形やマドゥエケの状態次第で、スターリングをセカンドトップ的に中央に置く形も考えられる。

◆リバプール◆

【4-3-3】

予想スタメン

(C)CWS Brains,LTD.


GK:アリソン

DF:アレクサンダー=アーノルド、コナテ、ファン・ダイク、ロバートソン

MF:ソボスライ、カーティス・ジョーンズ、マク・アリスター

FW:サラー、ガクポ、ジョタ

負傷者:MFチアゴ、バイチェティッチ

出場停止者:なし

出場停止者はいない。負傷者に関しては復帰にもうしばらく時間を必要とするチアゴ、バイチェティッチの2選手が欠場となる。

システムは[4-2-3-1]のオプションもあるが、メインシステムの[4-3-3]で臨む可能性が高い。スタメンに関して鉄板のディフェンスライン、右ウイングのサラーの起用は間違いないが、中盤は各選手の立ち位置の変更も想定される。タレント揃いの前線ではガクポとジョタの起用を予想したが、ルイス・ディアス、ヌニェスの起用も十分に考えられる。

★注目選手

◆チェルシー:DFリース・ジェームズ

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過渡期迎えるブルーズの新キャプテンの一挙手一投足に注目集まる。この開幕戦では新加入選手や新10番のムドリクらのパフォーマンスも気になるところだが、、アスピリクエタに代わって新生ブルーズの牽引役に任命された生え抜きDFに注目したい。

ベーリー体制移行後は生え抜きや功労者にとって完全に居づらい環境となり、ブルーズの伝統が失われる危惧もある中、未だ去就不透明なギャラガーと共に主力クラスでは唯一の生え抜きとなる23歳は、プレシーズンの段階からキャプテン就任を熱望。新加入選手と積極的にコミュニケーションを取りつつ、公の場においても新たなリーダーとしての振る舞いを示してきた。現スカッドには“聖人”チアゴ・シウバやチルウェル、エンソ・フェルナンデスとリーダーを担える選手はいるものの、やはり多くのサポーターはブルーズの何たるかを誰よりも理解するイングランド代表に大きな信頼を寄せているはずだ。

豊富な経験と人心掌握に定評があるポチェッティーノ監督だが、現時点ではチームを掌握し切れておらず、寄せ集めの感が強い現スカッドにおいては結果と共にしっかりとしたまとめ役が必須。いきなりのビッグマッチで苦戦が見込まれる中、新キャプテンのプレーや細かな振る舞いに注目したい。

◆リバプール:MFアレクシス・マク・アリスター

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中盤刷新の象徴がデビュー戦で存在感示せるか。ブライトンとアルゼンチン代表での見事な活躍によって、今夏の移籍市場での主役の一人となったマク・アリスター。国内外のメガクラブの関心を集めた中、6月初旬という早い段階でマージーサイド行きを決断し、世界屈指の名門で背番号10を背負うことになった。

プレシーズンを通じてはインサイドハーフとアンカーのポジションでプレーしており、前所属先と大きく異なるチームスタイルに適応中。また、プレースタイル的に周囲との密な関係構築が求められる中でこちらも少しずつ馴染んできており、ブライトン時代のような存在感を示すのも時間の問題と言えるはずだ。

ただ、自身の状況とは関係ないクラブの補強の遅れによって、ジェラードの背番号8を継承したソボスライと共に中盤刷新の象徴となる24歳に対するサポーターの期待値や評価の目はやや厳しいものとなってきており、公式戦デビュー戦となる今回の一戦を含め、できるだけ早い段階で信頼を得たいところだ。

アルゼンチン代表の同僚であるエンソ・フェルナンデスらとのマッチアップでチームに優位性をもたらすと共に、多士済々のアタッカー陣をうまく操って敵地での開幕戦勝利に貢献したい。

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