日本最大級とされた巨大マダコ、寄贈先の水族館で産卵 絶食状態で世話に大忙し「もう少しで命が尽きると思うと寂しい」 兵庫・姫路

水槽のガラス面に産み付けた房状の白い卵を守るマダコ=姫路市立水族館

 兵庫県佐用町の鮮魚店が同県姫路市立水族館(同市西延末)に寄贈し、日本最大級とされた体重5.4キロのマダコが、7月下旬に同館の水槽で産卵した。ガラス面に房状の卵の塊を産み付け、全身で覆ったり水を吹きかけたりして愛情を注ぐ。8月下旬にはふ化するとみられ、同館は「美しい卵や子煩悩な親マダコの様子を見に来てほしい」と呼びかける。(田中宏樹、真鍋 愛)

 マダコは同県明石市沖で水揚げされ、佐用町三日月の「魚竹あべ鮮魚」店長の阿部浩也さん(32)が6月下旬に姫路市中央卸売市場で競り落とした。阿部さんはその巨体に目を奪われ、飲食店へ卸さず同水族館に寄贈。約1カ月後の7月28日朝に職員が産卵を確認した。

 卵は長さ約10センチの房状の塊が数十本あり、ガラス面の2カ所に産み付けられた。マダコはほぼ絶食して卵を守り、人が近づくと足を大きく振り上げて威嚇するような動きも見せる。

 同館によると、マダコは卵のふ化を見届けると間もなく絶命するという。阿部さんは「産卵はうれしい半面、もう少しでタコの命が尽きると思うと寂しい。夏休みの子どもたちにタコの最後の雄姿を見てほしい」と話した。

 マダコは本館1階で展示している。開館時間は午前9時~午後5時。大人520円、小中学生210円。火曜休館(15日は開館)。同館TEL079.297.0321

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