22年度県内移住相談、最多7122件 行政の支援強化奏功 コロナで地方回帰の流れ続く

 2022年度の栃木県内への移住相談件数は前年度比32.2%増の7122件となり、過去最多を更新したことが12日までに、県のまとめで分かった。新型コロナウイルス下で高まった地方回帰の流れを追い風に、県や各市町が相談体制を強化したことなどが奏功したとみられる。本年度も移住体験ツアーなどの取り組みを展開し、より積極的なPRによって移住者増を目指す。

 相談件数は県や市町の窓口、関連イベントなどで寄せられた相談の合計。東京・有楽町の県の窓口「とちぎ暮らし・しごと支援センター」には前年度比69.0%(488件)増の1195件の相談があった。

 同センターによると、新型コロナによる行動制限の緩和に伴い、帰省を機にUターンや地方移住を考える人や、現地で生活圏を確かめてから相談に訪れる人が増えたという。

 担当者は「テレワークが浸透し、生活スタイルそのものを見直す30、40代が多い印象。新型コロナの5類移行後も、地方回帰の流れは続いている」と話す。同センターは22年度から相談員を1人増員し、体制強化を図っている。

 市町別では茂木町が4年連続の1位で、前年度比67件増の665件。同町担当者は「小さな町だからこそできる丁寧なサポートや、移住後の相談体制による効果が出たのではないか」と分析している。2位は那須塩原市の546件(前年度比91件増)、3位は栃木市の520件(同46件増)だった。

 特に増加が目立ったのは宇都宮市の496件(同330件増)や足利市の475件(同232件増)など。相談窓口を駅構内などの目立つ場所に設けたことが要因とみられる。

 県や市町は移住体験ツアーや交流会にも力を入れ、移住を検討している人たちに積極的なアプローチを展開。移住前のイメージと実際に移住した際のギャップの解消も図る。県は今月、市町担当者向けの研修会を開いており、10月には都内で全市町が参加する相談会の開催を予定している。

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