教育ローンに複数のカードローンを抱えて“火の車”学費で赤字になった公務員一家の家計をどう立て直す?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、49歳公務員の女性。子ども2人の学費を支払いお金がなくなってしまったという相談者。教育ローンのほかカードローンの返済も数社あり、“火の車”状態とのこと。どうやって借金を返していけばいいでしょうか。FPの飯田道子氏がお答えします。


子どもが2人、大学に進学し、一人暮らしをしていたため、お金が全くなくなってしまいました。

仕事に忙しく、なかなか貯金に気が回らなかったのですが、奨学金や学資保険でも到底足りず、教育ローンなども利用しました。しかし、2人とも独立した今でも、まだまだ出費がかさむうえに、ローン返済が数社あり、毎月赤字です。なので、またカードローンに頼るため、老後資金どころか、いつまでも借金が減りません。リボ払いも利用しており、まさに火の車です。

【相談者プロフィール】

・女性、49歳、公務員 ・夫、50歳、公務員

・子ども:次男17歳(高校生)、長女20歳(栄養士)、24歳(別居)

・お住まい:中国地方、持ち家(戸建て)

・毎月の世帯の手取り金額:50万円(夫20万円、妻30万円)

・年間の世帯の手取りボーナス額:250万円

・毎月の世帯の支出の目安:30万円

【相談者プロフィール】

・住居費:1万円

・食費:7万円

・水道光熱費:5万円

・教育費:1万円

・保険料:3万円

・通信費:3万円

・車両費:5万円

・お小遣い:-円

・その他:5万円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:0円

・現在の貯蓄総額:0円

・ボーナスからの年間貯蓄額:0円

・毎月の投資額:1万円

・現在の投資総額:50万円

・現在の負債総額:1,000万円

【借入内訳】

住宅ローン:借入500万円、月2万円返済、残債100万円

教育ローン:借入2社500万円、月3万円返済、残債300万円

共済貸付:借入300万円、月3万円返済、残債150万円

カードローン:借入3社500万円、月8万円返済、残債500万円

飯田:今回は、2人のお子さんが大学に進学し、一人暮らしをしていたことにより、お金が全くなくなってしまった相談者様からです。学費の準備が思うようにできなかったため、奨学金や学資保険では足りず、教育ローンも利用したとのこと。2人が独立した今でも出費がかさみ、毎月赤字のようです。今後の老後資金の準備どころか、いつまでも借金が減らないとのこと。相談者様の場合、どのようなことを心がけていけば良いのでしょうか。

まず、各種ローンの仕分けをする

相談者様の支出の内訳、借り入れの内訳を拝見しました。決して収入は少なくはありませんが、返済に苦労している様子が伺えました。そこで取り組んで欲しいのが、各種ローンの仕分けをすることです。

具体的には、下記のように取り組んでみてはいかがでしょうか?

(1)住宅ローンは残り100万円なので、このまま返済するor繰上返済を検討する
(2)教育ローンの残り300万円は、成人している子どもに返済を手伝ってもらえないか相談する
(3)共済貸付の残り150万円は低金利なので、このまま返済する
(4)カードローンの借入残高500万円は、毎月の返済額が減額できないかを考える

などです。

上記の(2)は、同居しているお子さん、別居しているお子さんともに、現状について説明し、家計にお金を入れてもらえないか相談してください(ただし、奨学金を返済している場合は、無理強いしないでください)。その金額がたとえ5,000円、1万円であっても、家計としては助かりますよね。

カードローンは低金利の金融会社で借り換えを

もっとも気になったのが、(4)のカードローンです。カードローンの借入先が複数あり、それぞれの会社に返済しなければならないため、毎月の返済額は多くなりがちです。

カードローンの3社の借り入れは、できるだけ低金利の金融会社のローンへの借り換えをおすすめします。

低金利で借り換えができるのは銀行ですが、それ以外の金融会社でもある程度まとまった金額を借り入れた場合の金利は低くなりますので、確認してみてください。

たとえば1社にローンをまとめた場合のシミュレーションの結果は以下のようになります。

◆金利4.0%、返済期間10年の場合、毎月の返済額は50,622円
◆金利10.0%、返済期間10年の場合、毎月の返済額は66,075円

相談者様が利用しているカードローンの現在の金利や条件等は分かりませんが、金利4.0%なら、毎月3万円弱の支出を抑えることが可能になります。金利10.0%の場合でも、毎月1万4,000円程度の支出を抑えることができますので、借り換えを検討する価値はあるのではないでしょうか。

カードローンの借り換えの注意点としては、カードローンから返済専用のローンに組み替えた場合、多くの会社で、新たな借り入れができなくなるということです。そのためには返済計画に無理がないかをシミュレーションし、借り換えることが大切です。

また、返済期間や金利は審査によって変わってきますので、現状ではどのように借り換えできるのかを知ることから始めてください。

住宅ローンは一括返済の検討を

実際に収支のバランスを見ていくと、頂いたデータ上では生活は可能になっていると思います。また、ボーナスの使い道については触れられていませんでした。

住宅ローンの残債は100万円。ボーナスは250万円受け取ることができることになっています。250万円の使い道は決まっているのかもしれませんが、今年中にでも一括返済しても良いのではないでしょうか? それだけでも、毎月の支出は2万円抑えることができますよね。

まだ高校生のお子さんがいらっしゃるので、これからも学費はかかると思います。まずは目の前の借入金の返済の目途を立てていくことが大切ですが、お子さんの進学や就職等のライフイベント、夫婦の退職のタイミング等を考慮して、お金の流れを把握してみてはいかがでしょうか。

子どもの教育費が落ち着いたら、老後資金を準備しなければなりません。今、いくら必要で、数年後にいくら必要になるのか、収入(含む年金)はいくらあるのかを知っておくことも大切です。

現状、相談者様のように多くの人がローンの返済に頭を悩ませています。大変だと思いますが、借り換え等を含めて、自分たちができることを考えてみて下さいね。陰ながら応援しています。

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