【新NISA】投資を始める前に貯めておきたい生活防衛費。何ヶ月分が理想?

いよいよ2024年1月から新NISAが始まります。新NISAは年間の非課税投資枠が成長投資枠240万円、つみたて投資枠120万円と合計360万円となる予定です。政府の後押しなどもあり、投資への関心が高まることで、新NISAに興味を持ち始めている人が多くみられます。

しかし、投資を行うにしてもある程度の準備をしておくことが重要です。今回は投資を始める前に貯めておきたい生活防衛費について、どのくらいが理想なのかについて解説します。


投資は余剰資金で行うことが大切

投資を行う資金は生活費から捻出するのではなく、あくまでも余剰資金で行うことが原則です。生活費を投資に充ててしまうと、市場が下落した際に生活に大きな影響を与えることにもなりかねません。

余剰資金とは、貯蓄における生活防衛費を除いた資金を指します。投資を行うには、余剰資金からその費用を捻出する必要があります。生活防衛費は、けがや病気のために収入が途絶えてしまった際に備えておくべき費用で、どのくらいを準備しておくかはその人の属性によって異なります。

生活防衛費は、いざという時の費用ですので、すぐに引き出せるよう現金で保有しておくのが原則です。そのため、銀行預金(普通預金)で用意しておくことをおすすめします。ただし、いつも利用している生活費用の口座とは別の口座を用意して貯めておくようにしてください。

せっかく貯めるなら定期預金や個人向け国債など少しでも金利の高い商品を利用する方法も考えられますが、一定期間引き出せないなどの制限があることや、途中解約の手数料が発生するなどの理由からおすすめできません。

生活防衛費はどのくらい貯めておくのが理想?

では、生活防衛費はどのくらい準備しておくのが理想なのでしょうか。給与所得者と自営業者・フリーランスに分けて解説します。

●給与所得者の場合
病気やけがによって一時的に働けなくなった場合、給与所得者なら加入している社会保険(健康保険)から傷病手当金が支給されます。傷病手当金とは、けがや病気で4日以上続けて会社を休んだ場合、その間会社から給与の支払いがないことを条件に、傷病手当金支給開始日の以前12ヵ月間に受け取った給与の平均額の3分の2が支給されるものです。

手当金を受けるためには、医師の意見書や事業主の記入欄など埋めた「健康保険傷病手当金申請書 」を1ヶ月ごとに会社に提出する必要があり、最終的に受け取れるのは申請してから2ヶ月後になるケースが多いです。そのため、その間の生活費を補填するための貯蓄が必要です。

できれば最低でも生活費の3ヶ月分、受け取れる手当の額がこれまでの3分の2になることや休業期間が長引く可能性も考え、余裕を持たせるなら6ヶ月分は貯蓄で準備しておくことをおすすめします。

●自営業者・フリーランスの場合
自営業者やフリーランスの場合は給与所得者と異なり、傷病手当金のような社会保険はありません。また、自営業者やフリーランスがケガや病気で仕事ができない状態になった場合、その後働けるようになったとしてもすぐに元のような仕事の依頼が来るとは限りません。職種によっては以前と同じ収入を得ることができず、転職の必要に迫られるケースもあるでしょう。

一般的に転職にかかる期間は3ヶ月~6ヶ月といわれており、さらに自営業者やフリーランスだと失業手当も受けられないため、毎月の生活費がどのくらいかかっているのかを把握し、最低でも生活費の6ヶ月分を貯蓄しておくと安心です。

生活防衛費の目安

実際にどのくらいの額を貯めておけばいいのか、総務省が発表している「家計調査(2022年) 」を用いて試算してみました。

●一人暮らし
総務省の統計によると、単身世帯の平均支出額は16万1,753円となっています。ただし、勤労世帯だと17万8,434円、無職世帯だと14万2,194円と大きな差があります。仮に勤労者である一人暮らしの方なら、約54万円~107万円は生活防衛費として貯めておきたいところです。

●2人以上の世帯
夫婦2人暮らしの平均支出額は25万5,318円、子供が1人いる3人世帯だと30万4,339円です。世帯人数が増えるにつれ生活費はかかるものですが、3人世帯なら約91万円~183万円は生活防衛費として貯めておきましょう。ただ、加入している保険や社会保険などでカバーできる場合はどのくらいの保障が受けられるのかを計算し、最終的な生活防衛費を決めることをおすすめします。

また、無職の2人世帯だと毎月の生活費は23万1,858円となっており、年金以外の収入がない場合は、約140万円は生活防衛費として蓄えておきましょう。

生活防衛費を貯める方法

現在、必要な生活防衛費がわかったところで、どのように貯めていけばいいのでしょうか。ここでは、生活防衛費を貯める方法について紹介します。

●家計の収支を把握する
貯蓄額を増やすためには、まず家計の収支を把握することが大切です。その上で余分な支出はないか、節約できる部分はないかを探してみましょう。収入よりも支出の方が下回れば、その分貯蓄に回すことができます。

●通常の生活費は別の口座で用意しておく
最初から支出額がある程度把握できており、支出より収入の方が多いなら、収入を得た時点で貯蓄しておく方法もあります。いわゆる先取り貯蓄というもので、先取り貯蓄を行うにあたってのポイントは、生活費とは別の口座で用意することです。そして、どうしてもという時以外はその口座から引き出さないように心がけておくことも大切です。

●副業で得た収入はできるだけ生活防衛費に充てる
最近では副業解禁の流れで、自分の特技を生かして収入を得る機会も多くなっています。その場合でも、できるだけ会社からの収入だけで生活ができるように支出を抑えるようにするとともに、副業で得た収入も最低限必要な費用を除き、生活防衛費として貯めていくようにしましょう。

ポイ活をしているならポイント運用もおすすめ

投資を行うなら、貯蓄の中の生活防衛費を除いた余剰資金で行うことが原則です。生活防衛費を貯める方法はさまざまですので、自分が置かれている状況に応じた貯蓄方法を取り入れましょう。

また、余剰資金がどうしても工面できない場合にはポイントで運用することもできますので、ポイントを貯めているならそれを投資に活用する方法もおすすめです。最近ではNISAに対応したポイント投資を取り入れているネット証券も多く、貯めているポイントによって選べる証券会社は異なります。有効期限が迫っており、使い道に困っているなら、ポイントを使った投資も検討してみましょう。

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