神社の宝「景徳鎮製」と判明 鹿児島、ビーズ状装飾も

中国・元の時代に景徳鎮窯で焼かれた馬上杯=鹿児島県南九州市の「ミュージアム知覧」

 鹿児島県南九州市の飯倉神社に伝わる二つの馬上杯が、同市文化財課主任主査の新地浩一郎さん(49)と、県考古学会副会長の上田耕さん(64)の2人の調査で、中国・元の時代に景徳鎮窯で焼かれた青白磁と分かった。側面には中国でも珍しいビーズひも状の飾りが施され、専門家は中世の鹿児島と海外の交流を考える上で貴重な史料と指摘した。

 市によると、馬上杯はいずれも高さ約10センチで口径約9センチ。透かし彫りで花をあしらったり、シカのような動物の姿を造形したりと高度な技術で制作されている。

 2人は約3年半がかりで複数の専門家に鑑定を依頼。結果、小さなビーズ状の玉を磁器と同じ材料でつくる装飾の特徴などから景徳鎮窯製と判明した。

 古陶磁研究を専門とする佐賀県立九州陶磁文化館の名誉顧問大橋康二さん(74)は同様の装飾がある景徳鎮窯の陶磁器は海外で見つかっているが数が少ないとし、「手間がかかる特殊な装飾で、非常に価値がある」と評価した。

 馬上杯は同市の歴史文化資料館「ミュージアム知覧」で常設展示している。

中国・元の時代に景徳鎮窯で焼かれた馬上杯=鹿児島県南九州市の「ミュージアム知覧」

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