県内企業5割がBCP策定意向 2年連続増、ノウハウや人手不足が課題

 災害、感染症や取引先の倒産と情報漏えいなど、多様なリスクによる緊急事態に備えた事業継続計画(BCP)の策定意向がある本県の企業は約5割で、2年連続で前年を上回ったことが帝国データバンク山形支店の調査で分かった。自然災害が多発する中で関心は高まっているが、ノウハウや人手不足を理由に手が回らない企業が多いことも浮き彫りになった。

 過去5年間のBCP策定状況はグラフの通り。「策定している」と回答したのは15.2%で前年より減少したが、「策定中」の7.6%と「策定を検討している」の27.3%を合わせると50.1%で、策定意向がある企業の割合は増加している。

 策定していない企業に複数回答で理由を聞くと、「スキル・ノウハウがない」が52.7%でトップ。「人材を確保できない」「時間を確保できない」がともに34.5%で続き、「実践的な計画にすることが難しい」が32.7%で続いた。

 策定意向がある企業に想定リスクを尋ねると、地震や風水害などの「自然災害」が71.2%で最多。「設備の故障」は前年比22.7ポイント増の54.5%、「感染症」は13.6ポイント減の45.5%だった。実施内容では「従業員の安否確認手段の整備」が69.7%で最も多く、「情報システムのバックアップ」「調達先・仕入れ先の分散」などが続いた。

 同支店の担当者は「新型コロナウイルス感染症など、想定できないリスクも起こっている。BCPも策定して終わりではなく、バージョンアップしていくことが必要」と指摘する。

 調査は5月18~31日、県内304社を対象に実施し132社から回答を得た。回答率は43.4%。

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