生成AIの活用、学校手探り 「学習に有効」「独創性失う」

生成AIを代表するチャットGPTの画面。各学校が適切な利用方法を模索している(写真はイメージです)

 チャットGPTなど生成AI(人工知能)の普及が進む中、県内の各学校は有効活用と慎重姿勢のはざまで揺れている。会話をするように質問に答えてくれる構成から「英会話学習に有効」との意見がある一方、「独創性を失う」との声も。夏休みは終盤に入り、宿題の進み具合が気になる頃だが、「生成AIを読書感想文に使うのは不適切」などと、あえて注意を促した学校もあり、教育現場は手探りの状態だ。

 先月4日、文部科学省は生成AIの小中高向け指針を公表し、全国の教育委員会などに通知した。これを基に米沢市教委は注意事項を示した文書を保護者に配布し、利用には慎重な判断を求めた。

 このうち米沢六中は終業式で、須貝洋介教頭が夏休み中に作文やポスター制作などに生成AIを使わないように呼びかけた。「課題は自らの言葉や創造力で表現するのが目標。AIの回答は人間が考えたものの組み合わせであり、創造性は人間の方が優れている」と訴えたという。

 山形市の東北文教大山形城北高は夏休み前に「利用する際のチェックリスト」を作成して通知した。同校はガイドラインを踏まえ、効果的な場合には積極的に活用する考え。大沼敏美校長は生成AIを使ったアバター(分身)で英会話を学ぶケースもあるとし、今後、普及が進むとみる。

 酒田東高は、夏休みの課題のほとんどが問題集で、感想文形式のものが少ないため生成AIの利用については触れなかったという。斎藤一志校長は「社会に出る上では必要な知識だ。今後、有効な使用法を伝えて行きたい」と語った。

 若手には期待感もある。山形市楯山小の6年担任横川広輝教諭(24)は「使い方次第では子どもたちがアイデアを引き出すための“第二の脳”だと思う」と話す。教育現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)事業を国内外で展開する「Manabie(マナビー)」の経営者・本間拓也さん(36)=山形市出身=は、「志望校合格といった明確な目的を持つ学習塾や新興国では積極的な活用が進むのでは」と展望した。

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