「航空発祥の地」地面から伝える…所沢市、アンリ・ファルマンの孫にデザインマンホール贈る 市内に400枚

ピエール・ファルマンさん(中央モニター内)に贈られたマンホール。右は在日フランス商工会議所のクリスチャン・ポラック理事。左は藤本正人市長=8日午後、埼玉県所沢市役所

 埼玉県所沢市は8日、日本で初めての飛行場「所沢飛行場」で初飛行した航空機を造ったアンリ・ファルマンの孫ピエール・ファルマンさん=フランス在住=に、当時の機体がデザインされたマンホールを贈った。市が航空の歴史を題材に短編映画を製作した際、ピエールさんから協力があったことから、今回のプレゼントに至った。市は「所沢とフランスとのさらなる交流を図りたい」としている。

 所沢飛行場は1911年、現在の所沢航空記念公園がある土地に開設された。同飛行場での初飛行を行ったのが徳川好敏大尉で、この時に操縦した機体がピエールさんの祖父アンリ・ファルマンによるフランス製複葉機「アンリ・ファルマン機」だった。同機は前年に代々木練兵場で、日本で初めての動力飛行を記録した。

 市は所沢の航空の歴史を広く知ってもらおうと、ファンタジー仕立ての短編映画「飛行場のまち 所沢からはじまる物語」(約40分)を2022年度に製作した。撮影は市内をはじめ、フランスのパリやトゥールーズなどでも行われた。

 ピエールさんは映画の中で、祖父がアンリ・ファルマン機を製造した経緯などについて説明。フランスではロケのスタッフを祖父ゆかりの地に案内するなどしたという。

 市役所で行われた贈呈式には、ピエールさんと親交がある在日フランス商工会議所のクリスチャン・ポラック理事らが代理で出席。ピエールさんも滞在先のスペインからオンライン参加した。

 藤本正人市長は映画製作の協力への謝意を示した上で、「アンリ・ファルマン機は日本航空発祥の地としてのシンボル。所沢とファルマン家、日本とフランスの距離が近づくことを願っている」と呼びかけた。

 ピエールさんは「たくさんのフランス人にマンホールを見せることを約束する。フランスと所沢の友情のために貢献したい」と応じた。

 マンホールは1998年にデザインされた。市の鳥ヒバリや市の木イチョウの葉などが周りにあしらわれ、中央にアンリ・ファルマン機が飛ぶ。市内には約400枚が設置されている。

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