ブリの刺し身は「みそ」でさっぱり 新上五島町・小串郷

脂が乗ったブリの刺し身とみそは絶妙なマッチング

 新上五島町の北部、小串郷を中心にごく限られた地域の食習慣に出合った。ブリの刺し身をみそで食べるのだ。町内でも、しょうゆで食べるのが一般的。ぽん酢や酢じょうゆ、酢みそ、塩などで食べることはあるが、みそは珍しい。
 同郷の畑下直(すなお)さん(56)は、漁業と水産加工品製造販売業を営み、父、祖父も漁師。幼少から食卓には常に魚があった。「刺し身は皿に並べるというより、山盛りで出てきて、食べきらんやった」と笑う。
 特に10キロ超の大物ブリは脂っこく、2切れくらいで箸が止まったという。そこで、祖父や父は「みそで食べろ」と。やってみると、さっぱりとした味わいに変わり、おいしく食べることができた。それ以来、好んでみそを付けている。ただし、脂が乗った大物ブリのときだけ。秋ごろから特に脂が乗るブリは格別だ。
 以前は自家製麦みそで食べていたが、作らなくなり、今は市販品の麦みそ。畑下さん流アレンジは、麦みそにわさびを2対1の割合で混ぜ合わせる。酒のあてにもぴったりだという。

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