国際ロマンス詐欺、銀行員が連携プレーで食い止める 男性の高額送金を不審、銀行システムで調べ確信 兵庫

国際ロマンス詐欺の被害を食い止めた松岡めぐみさん(左)と花瀬小夜さん=西脇署

 国際ロマンス詐欺の被害を未然に食い止めたとして、兵庫県警西脇署は三井住友銀行西脇支店の支店長代理を務める松岡めぐみさん(59)と、主任の花瀬小夜さん(51)に感謝状を贈った。窓口対応で男性の送金目的に不審さを感じた花瀬さんと、警察が到着するまでの時間を稼いだ松岡さんの連携が功を奏した。(伊田雄馬)

 同署によると7月20日、同県加東市の男性(72)が「自動車の購入費用240万円をインターネット口座に送金したい」と同店を訪れた。花瀬さんは高額の送金を不審に思い、契約書や請求書が手元にあるか男性に質問した。

 男性は「家にある」とはぐらかし、花瀬さんが「家族は送金を知っているか」と尋ねても「知っている」と答えた。花瀬さんは不信感をぬぐえず、同銀行のシステムにアクセス。すると、19日の夕方に同銀行の北条支店(加西市)でも高額送金を試み、窓口の職員が加西署へ連絡していたことが分かった。

 男性は職員らの説得に納得せずに退店し、西脇支店から送金しようとしていた。詐欺の疑いを濃くした花瀬さんは、松岡さんへ報告。松岡さんは西脇署へ連絡し、署員が到着するまでに男性を帰らせないように場をつないだ。

 「受けるつもりはないが、振り込み依頼書を書いてもらって時間を稼いだ」(松岡さん)。約15分後に署員が到着。男性が交流サイト(SNS)で知り合った台湾人女性を名乗る人物に送金しようとしていたことが発覚した。

 花瀬さんは「高額だが、送金の目的がはっきりしなかった」と振り返り、松岡さんは「警察や他の支店とうまく連携できた」と胸をなで下ろす。同署の奥村寛署長は「情報を共有し、組織として活用していることに敬意を表したい」と感謝を述べた。

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