スーパー耐久ST-Qクラスに挑むTeam HRC、着実な進化を遂げ第5戦もてぎのホームレースへ

 2023年のENEOSスーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONEは、7月29〜30日に第4戦オートポリスを終え、9月2〜3日にモビリティリゾートもてぎで開催される第5戦からシリーズは終盤戦を迎える。今季、ST-Qクラスに参戦を開始したTeam HRCのCIVIC TYPE R CNF-Rは、第2戦富士のデビューから着実な進化を遂げている。

 Team HRCは、ホンダのモータースポーツの中核とも言える存在に成長したシビック・タイプRをベースに、カーボンニュートラル燃料に適合したレース用エンジン開発、参加型モータースポーツ向けのベース車両製作やパーツの研究開発を行うなど、さまざまな目的をもってスーパー耐久に挑戦を開始した。

 参戦緒戦がいきなり第2戦富士SUPER TEC 24時間レースではあったが、武藤英紀/伊沢拓也/大津弘樹/小出峻という4人がクルマを労りながら着実にレースを戦うと、終盤ミッショントラブルに見舞われ4速ホールドという状態となってしまうも、まずは完走を果たし次戦以降に繋げた。

 第2戦以降、CIVIC TYPE R CNF-Rはミッショントラブルの解決に加え、中速域のトルク向上を目的としたマッピング調整などを実施。また性能向上を目的にラジエターの変更、ラジエターファン調整、グリル開口部の面積拡大、さらにブレーキは前後制動バランス向上を目的としたパッド変更、また冷却効率向上を目的としたダクト最適化などを行った。

 また旋回性能向上を目的に、LSDのセットアップ調整などさまざまな改良が行われてきた。さらにカーボンニュートラル燃料も、適合検証を目的とした新たな燃料を採用するなど、ST-Qクラスに参戦する他メーカーと同様、開発車両が参加できるというクラスのメリットを最大限に活かし、非常にテンポが早い開発が進められている。

 そんなTeam HRCのCIVIC TYPE R CNF-Rは、7月8〜9日の第3戦SUGOからは、武藤/伊沢/大津という3人での参戦。ただこのレースでは短い3時間レースではあったが、決勝では電気系統のトラブルが発生。チームは実走でのバグ出し不足を痛感したという。

 7月29〜30日の第4戦オートポリスでは、予選、さらに決勝とタイムも向上。「戦えるクルマになってきた」ことをチームも実感し、たしかな手ごたえを感じたという。レースではST-Z車両との接触で総合順位を落とすことになってしまっていたが、それまでは予選から決勝序盤まで、「とても良い流れが作れたと思う」とチームは戦える感触を得た。

 迎える9月の第5戦は、ホンダにとってもホームコース。今季からスーパー耐久に参戦するTeam HRCにとっては、初めてのホームだ。チームでは「期待にこたえるようなアップデートの準備中です。ぜひ応援よろしくお願いします」としている。

 第4戦ではMAZDA SPIRIT RACINGのマツダ3、カーボンニュートラル燃料を使って参戦を開始したロードスターともスピードをみせており、ORC ROOKIE GR86 CNF Concept、Team SDA Engineering BRZ CNF Conceptの争いに対してのST-Qクラスの争いも激化している。Team HRCのCIVIC TYPE R CNF-Rがもてぎでどんなスピードをみせるか、楽しみにしたいところだろう。

2023スーパー耐久第4戦オートポリス Team HRCのCIVIC TYPE R CNF-R
2023スーパー耐久第4戦オートポリス Team HRCのCIVIC TYPE R CNF-R。木曜の走り出しはホンダエンブレムはグリルにあった。
2023スーパー耐久第4戦オートポリス Team HRCのCIVIC TYPE R CNF-R
2023スーパー耐久第4戦オートポリスには3種類のホンダ・シビック・タイプRが揃った。

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