15日午後、兵庫県に上陸した台風7号の影響で、県内全域は終日、大雨や暴風に見舞われた。県北部の但馬地域では、香美町を流れる矢田川が氾濫して川沿いの県道が通行止めになったほか、土砂崩れや浸水などの被害が相次いだ。神戸など都市部でも交通網の乱れや強風による人の転倒、倒木などが発生した。
県新温泉土木事務所(新温泉町)によると午後1時半ごろ、香美町村岡区高津で矢田川沿いの県道香住村岡線が冠水した。同町は同3時半、最高レベルの避難情報「緊急安全確保」を町内全域に発令した。
また美方署などによると同町香住区八原では、冠水した県道で軽トラック1台が立ち往生し、乗っていた80代の女性2人が救助された。同町村岡区和田では住宅3棟に裏山の土砂が流入し、周辺の10世帯が避難。けが人はなかったという。
豊岡市出石町東條の願成寺でも同2時過ぎ、裏山の土砂が高さ約30メートル、幅10メートルにわたって崩れ、一部が本堂の壁を突き破って流入した。同市によると、2階に住む住職にけがはなく、参拝者はいなかった。
香美町に隣接する新温泉町も午後、「高齢者等避難」を出した。同町石橋の集会所には川沿いに住む2世帯3人が避難した。車椅子の義母と身を寄せた山村幸代さん(51)は「数年前は土砂降りの中で避難したので、今回は早めに来た」と話した。
但馬以外でも倒木や土砂崩れがみられ、強風で転倒するなどしてけが人が相次いだ。神戸市長田区の六間道商店街では午前、強風でアーケードがめくれ上がった。同市兵庫区荒田町1のマンション工事現場2カ所でも、パネルが約10メートルにわたって倒れて一時歩道をふさいだ。(まとめ・金 慶順)