砺波の漏水AIで漏らさず 散居村の調査効率化

AIが分析した人工衛星の画像データ。砺波市大門周辺で黄色部分が漏水の可能性のある箇所(同市提供)

  ●市が県内初導入

 砺波市は15日までに、人工衛星データとAI(人工知能)を活用して水道管の漏水を検知する調査を導入した。市によると、AIによる漏水調査は富山県内で初めて。散居村で人家が点在し、配水管が長い砺波特有の都市構造でこれまで広範囲に及ぶ調査を人手に頼っていたが、最先端の技術を駆使して効率的な調査を行うことで迅速に漏水箇所を絞り込み、早期の発見と修繕につなげる。

  ●衛星画像を解析、217カ所絞り込み

 AIを活用した漏水調査は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の人工衛星から照射した電磁波が地下1~2メートルまで浸透し、反射して戻る画像データから、塩素を含む水道水とそれ以外の水で異なる反射特性をAIで解析する仕組み。半径100メートルの範囲で漏水の可能性がある場所を絞り込める。

 市が今年度、民間に調査を委託し、6月に市内で漏水の可能性がある217カ所の範囲を絞り込んだ。8月から専門業者が現地に出向き、漏水検知器を使って、地面から聞こえる音で漏水の有無を判別する音聴調査を進めている。

 市によると、市内では散居村が点在していることもあり、本管から住宅への引き込み管を含めて市管理の配水管は総延長452キロに上る。排水量に対する実際の使用量を示す有収率は2020年度に84%と県平均の88.5%を下回り、残る16%の漏水対策が課題となっていた。

 これまで漏水の履歴や夜間流量の多い地域を3地区ずつ選び、4~5年程度掛けて市内の音聴調査を行ってきたが、AIによる調査は市全域を対象に一度で行えるため、調査期間の短縮や費用の大幅な削減が期待できるという。

 市は今後、音聴調査の結果をAIに学習させて精度を高めていく方針で、上下水道課の担当者は「漏水箇所の範囲をさらに絞り込み、正確性を高めていきたい」と話した。

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