富山・有峰で親子グマ3頭駆除 県庁舎に網戸破り侵入

クマによって破壊された有峰ハウスの壁=富山市有峰(県提供)

  ●壁壊し、ごみ箱荒らす

  ●県、登山客に注意呼び掛け

 富山県は15日、クマによる被害が相次いでいる富山市有峰地区で親子グマ3頭を駆除したと発表した。14、15日に県有峰庁舎にクマが侵入するなど被害が多発し、「緊急を要する対応が必要」(県自然保護課)と判断した。近くの薬師岳(標高2926メートル)に続く折立登山口付近でも登山客が被害に遭っており、県は引き続き注意を呼び掛けている。

 県によると、14日夕方~15日早朝にかけてクマの被害が確認されたのは県有峰庁舎、宿泊施設「有峰ハウス」、有峰ビジターセンター。いずれも有料の有峰林道沿いに位置する。

 県有峰庁舎では14日午後4時ごろ、成獣1頭が1階勝手口の網戸を破って施設内に侵入。職員が大声を出すと外へ逃げていった。部屋には米やワカメが置いてあった。その後も庁舎に3回近づこうとしたため、ロケット花火などで撃退した。子グマ2頭が近くにいた。

 有峰ハウスでは15日午前6時ごろ、成獣1頭が調理場の窓から侵入しようとした。従業員が大声を出すと逃げた。近くの物置の壁が壊されていた。有峰ビジターセンターでは外に置いてあったごみ箱が荒らされていた。同センターでは14日夜に予定していた昆虫観察会を中止した。

 こうした状況を受け、県、富山南署、捕獲隊は15日早朝から付近のパトロールを実施し、正午ごろに有峰ハウス近くで親子グマ3頭を発見し、猟銃で駆除した。

 富山市有峰地区では12日早朝に食事していた男性が背後からクマに襲われて軽傷を負ったほか、11~13日に登山客がリュックや食料を持ち去られる被害が発生していた。親子グマ3頭の目撃情報もあった。県自然保護課の担当者は「人に慣れているので危険だ」と説明した。

 今夏は大勢の登山者が訪れ、折立登山口近くの約400台の駐車場は連日ほぼ満車。登山道でクマを目撃する人も多い。県は▽車の窓ガラスを閉める▽食料は車に保管する▽食べ残しやごみは必ず持ち帰る―といった点に注意するよう呼び掛けている。

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